「成長」に投資する生き方1
ひふみ投信(投資信託)を運営するレオス・キャピタルワークス代表の藤野英人さんは著書「投資家みたいに生きろ」で次のように言われます。
「私はビジネスとして成長株に投資しているのですが、それは理想論ではなく現実的に投資効果をあげるためにそれしか方法がないと思っているからです。"大企業に投資することでリスクがゼロになる" という考え方は間違っていて、本来は "これから伸びるであろう企業の成長を信じることが最も安全でリスクが低い" と考えるべきなのです」
この考えはすべてに当てはまると思いますが、ここでは預貯金を例にとってみます。一か月の収入で3万円を貯金できたとして、それを銀行や郵便局に預けるか、それとも投資に回すか、まずはこの2択に分かれます。
ここで大事なことは手元の3万円を増やしたいのか、増えなくてもいいのか、の2択です。リスクを負ってまで増えなくてもいいという考えの方は預貯金で何も問題ないでしょう。しかし増やしたい、という方は預貯金で増えるわけがないため、投資を選択することになります。
そこで投資をするにあたり、それが個別株でも投資信託でも成長が見込めるという会社やファンドが見つかれば、そこに投資をすることで、成長を後押しした"おこぼれ"が得られます。"おこぼれ"とは配当金や分配金、キャピタルゲインです。
では藤野さんが言われる "これから伸びるであろう企業の成長を信じることが最も安全でリスクが低い" とはどういう意味なのか?
おそらく手元の "3万円を増やさなくてもいい、安全に預かってくれればいい" という考えも、今後にインフレーション(インフレ)が起きたら? という問いに答えを持ち合わせていないことを指します。
インフレが起きて物価が上がれば、現金の3万円の価値は応分に下がります。もはや額面は変わらなくても物価に追いついていないので「当時より損をしている」という状態になります。
そのように考えると安全なポジションはどこにもないというのが現実な話です。預貯金も安全でないなら、成長の見込めない会社やファンドに投資するわけはなく、つまりは成長の見込める会社やファンドに投資をする以外に選択肢はないということです。
上述は今後に大なり小なりインフレ予兆期を前提とする考えですが、デフレの予兆期はその逆を取ることが有効策になりえます。よって投資スパンを短期でとるか長期でとるかによって打つ手は変わるため、一概にインフレ予兆期の差し手のみを勧めることはできません。
しかし覚えておくべきは短期でも長期でも成長する会社やファンドは存在するということ。その成長するだろう会社やファンドに一点張りするのも一法ですが、それは危険というのが大勢の見方。であるならば、今後成長するだろう会社やファンドにさまざまな視点から分散投資をすることが、一番安全な投資方法と言えるのではないでしょうか。
投資の神様と称されるウォーレン・バフェト氏に次の言葉があります。
「ゲームに参加しないリスクは、参加するリスクよりもはるかに大きい」
ウォーレン・バフェット氏はプロの投資家ですから、計算に計算を重ね、成長株を選定します。うまく選定できたとして、この選定をもって "投資をしない" という選択は "投資をして損をする" というリスクよりもはるかに大きいと言っているのです。
藤野さんも同様です。成長株や成長ファンドを選定できていることが前提で、選定できているのならその選定先に乗る方が乗らないことよりも安全でリスクが低いと言われるのです。
次回もこのテーマ「成長に投資する生き方」について考察します。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考文献