一灯のローソク
(株)オオクシの大串社長は、近い将来店長のポストにつくために様々なことを学べる「導照塾（どうしょうじゅく）」を2016年2月に立ち上げました。その第2期 第8回目の塾を終えるにあたって、塾生を慰労するようにこのように語りかけたといいます。
「みなさんを送り出すにあたって、私はみなさんに一灯のローソクになってほしいと願います。ローソクは自分を燃やして周囲を明るく照らします。まさにそういう人間になってほしいのです」
・自分を燃やし、周囲を明るく照らす。
・周囲を明るく照らすため、自分を燃やす。
お恥ずかしながら、私は一灯のローソクがこんなに意味深なメッセージを映しているとは今日の今日まで知りませんでした。。そしてそのメッセージを最初に読み取った人、読み取れた人にも頭が上がりません。
数年前にビジネス書（自己啓発書）でベストセラーになったワタミ(株)創業者の渡邉美樹著「夢に日付を！」という本をご存じでしょうか？
本の主旨は、”夢は日付を入れることで動き出す" というもの。この本が発売になる以前は、夢に日付を入れるという概念があまりなかったため、渡邉美樹氏の主張が斬新にとらえられ、話題となりました。
その本の中で渡邉氏が「気づきメモ：心に留めておきたい言葉」として自身の手帳にこんな言葉が書き記されています。
「桜が咲いている。皆、ああ美しいなというだろう。しかしその美しい花は、自分の生命を燃やし花を咲かせている。美しい姿は自分の生命を完全燃焼しなければつくりだせない（哲学者・中村元）」
前出のローソクが今度は花に置き替えられた形です。
自然は私たちにさまざまなことを教えてくれます。まだ気づけていない教えもごまんとあることでしょう。
・自分を燃やすことは、美しいこと。
・その美しい姿は周囲を明るく照らす。
では自分を燃やすためには、完全燃焼にはどうしたらいいか？
それは周囲を明るく照らしたい、美しい姿を提供し、心を晴らしてもらいたい という切なる気持つこと。利他の心があること。
しかし最初からそんなに気高い精神を持ち合わせている人も少ないと思います。そのため日本に生まれた感謝を歴史から学ぶ、愛する家族や家庭をつくる、友達や人間関係を変える・・といった取り組みが必要かもしれません。
しかし現在、利他の対象がなくても、まずは自分を全力で助けてあげたいという気持ちがあれば結果は同じです。そのあなたの姿勢が美しい姿を形成し、人を魅了し、明るい気持ちにさせます。
そしてもう一つ私から大事なこと。
たとえあなたがそれに習い毎日を全力で生きて、それでも周りの評価や反応に変化がなかったとき。それでも決して、断じて諦めないでほしいのです。続けていれば必ずあなたに魅かれる人が現れます。その人を皮切りにまた一人、また一人、と増えていきます。その未来の人たちのために、水面下でもトンネルの中でも一灯のローソクであってほしい。一輪の花であってほしい。
誰にみられなくてもローソクはローソク、花は花。自身を燃やし咲かせるか、萎れさせるか、その答えはあなたが未来に何を思うかで決まります。
最後に約10年もの間、誰にも認められず、変化もなく、それでも信念を曲げず一灯のローソク、一輪の花であり続けた方を紹介します。
「掃除道」で有名な方なので、ご存じの方も多いかもしれません。
鍵山氏は社長であるにもかかわらず、自分ができることは掃除しかないと思い、それ以後毎日例外を作らず掃除を続けました。創業から約12年後、自社の社員の一部が手伝ってくれるようになり、さらにその10年後、社員のほぼ全員が朝早くから自主的に掃除をするようになり、さらにその10年後、社外から掃除の仕方を教えてほしいという依頼が入るようになったそうです。
そういった自身の掃除道を振り返り、鍵山氏は次の中国の格言を紹介しています。
「10年偉大なり、20年畏るべし、30年にして歴史なる」
見落としてはいけないのは、鍵山氏は10年もの間、毎日ただ一人、自燃したローソクであり続け、自燃した花であり続けたという事実です。そして周囲に認められるようになった20年後、30年後、現在でも、なお自燃し周囲を照らす生き方を貫いておられるということ。
世の中を見渡せば、鍵山氏以外にも何十人、何百人といらっしゃると思います。
そういった方々を見習い、私もあなたも共に周りの評価に左右されず、一灯のローソクで周りを明るく照らしていきましょう！
引用・参考文献
