心の戦士!~心が前向きになる言葉~

どんなときでも心を晴れやかに!→ 心の戦士いざ参上!

見切り 千両

名経営者ほど、新規事業を立ち上げる際のルールを明確にしていると言われます。そして名経営者は総じてこのように言われます。

「ルールに基づいて撤退すべきときに撤退できるかが勝負の分かれ目である」

 

実績を継続する投資家(トレーダー)は総じてこのように言われます。

「ルールに基づいて損切りすべきときに損切りできるかが勝負の分かれ目である」

 

調子のいいときは誰もが勢いづきます。そこで差は生じません。差が生じるのは決まって調子の悪いときです。それほど撤退や損切り感情的に難しいのでしょう。

 

かの上杉鷹山氏は次のような言葉(諸事の値打ち)を残されました。

 

 

 

<諸事の値打ち>

 

「働き    一両 

 考え    五両 

 知恵借り  十両 

 コツ借り  五十両 

 ひらめき  百両

 人知り   三百両

 歴史に学ぶ 五百両

 見切り   千両

 無欲    万両」

 

 一つ一つ説明します。

・ただ真面目に指示されたとおりに働く「指示待ち」には一両の価値

・考え工夫すれば、五倍の五両の価値

・人から知恵を借りれば、十倍の十両の価値

・コツをつかめば、五十倍の五十両の価値

・自分でひらめけば、百倍の百両の価値

・人脈を築けば、三百倍の三百両の価値

・歴史に学べば、五百倍の五百両の価値

・見切れば、千倍の千両の価値

・無私で公に捧げば、万倍の万両の価値

 

上記の言葉でほとんどの人が驚くのが「見切り 千両」ではないでしょうか。

 

そもそも上杉鷹山氏とはどんな人物なのでしょう?

簡単に触れますと、第35代米国大統領ジョン・F・ケネディが日本で最も尊敬する政治家として名を挙げた人物であり、戦国の雄・上杉謙信から続く名門上杉家9代米沢藩藩主。

 

しかし藩主になったときには既に20万両(200億円)の借金があり、藩の毎年の収支も赤字。毎年赤字の状態で、どうやって返済をしていけるというのでしょう。ただの1円もできないはずです。

 

しかしなんと鷹山氏はその現実を受け入れます。そして倹約を誓う「倹約誓詞」を春日神社と白子神社に奉納し、米沢藩再建を決意します。そして江戸中期に様々な改革を行い、財政破綻寸前まで追い込まれた米沢藩を72歳の亡くなる直前にして、見事に完済・再建させました。
ちなみに2007年に全国の自治体首長を対象に実施した「理想のリーダーは誰か?」という読売新聞のアンケートでは第1位に輝いています。

 

f:id:leonet0702:20191020145655p:plain

 

 

そんな苦難を生涯で乗り越えた鷹山氏が、諸事の値打ちについて「無欲」の次に「見切り」を重んじたことは見逃せません。本日はこの「見切り」を考察します。

 

生涯かけて莫大な借金を返済するために行った数々の改革、その背景には幾多のトライ&エラーがあったはず。鷹山氏はそのトライ&エラーの経験を経て「見切り」の重要性に気づいたということになります。

 

この「見切り」ですが、実はこんな意味を指すのです。

「環境が変わりそれに応じて変えなければならない慣習を見切ること」

 

変えなければならないとわかっていてもなかなか変更できない、従来のやり方から抜け出せない、そして結果何も変わらない、このような個人や組織に苦言を呈する言葉。

 

そういったところは昔も今も変わりません。

 

 目的地が北の方角にあるのに、南向きに歩いては一生辿り着けません。

相手が嫌がっているのに、それを無視して迫ってはストーカーです。

 

漕ぎだした船だから最後まで・・も時間の無駄です。

例えば映画館に行って開始早々つまらなく、30分経ってもおもしろくなる気配がないとき、それでも2時間まるまる見終えないといけないと考えるのは、道を間違えたのに引き返さず直行するようなものです。引き返せばロスは最小限で済むのに、直行すれば引き返す距離と時間を長くとるだけ、つまりロスを大きくするだけです。

 

新規事業を興すということは「需要がなかった」「ライバルの隙をつけなかった」等の可能性に自社を突入させること。

 

投資するということは、損する可能性に自分(自社)を突入させること。

 

自然に固定はないように、この世に絶対はありません。つまり事を起こせば必ずマイナス(うまくいかない)に出る可能性は避けられないということ。であるならば、裏目に出たときに、いかに対処を早くできるかが、未来を変える要因です

 

投資信託でも積立分散投資をすれば、どのファンドでも資産が増えるわけではありません。ダメなファンドはダメで、やはり元金を割ります。アクティブファンドは特に顕著で実際に割りまくってます。

 アクティブファンドはファンドマネージャーの運用手腕がもろに問われるため、例えば基準価額(株価のようなもの)が1万円だったとして、そこから5%下落したとします。すると基準価額は1万円から9500円に下がります。この下がった9500円からまた5%上昇すれば1万円に戻せると考えるファンドマネージャーがいたとしたら、その時点でマネージャー失格です(実際はいませんが・・)

なぜなら9500円から5%上昇しても9975円だからです。

 

このケースで言えば、いかに市場の下落時(運用株の下落時)に、今後の下がり幅を見越し すばやく損切りできるかが勝負です。上記の例でいれば基準価額1万円を2%の下落で食い止められれば9800円、そこから2,1%上昇すれば1万円に戻せます。それを5%まで落とせば1万円に戻すのに5,3%の上昇を要します。このケースでは(一例ですが)2%の下落で5%上昇させられるマネージャーが優秀です。

 

火事はボヤのときに対処、出血したら早急に止血、がんは早期発見と、「見切り」はつまるところ被害(状況の悪化)を最小限にとどめる術だったのです。

 

重要なことは被害(状況の悪化)を野放しにすれば、のちの努力対効果はどんどん減少するということ。これは非常に重要なことです。そして被害(状況の悪化)は、生きている限り最低限(自然現象で)訪れますし、挑戦の数だけ可能性が増えます。しかし夢や願望を叶えるためには挑戦は必須。

 

未来は不確定。ゆえに挑戦の数を増やしたい。その挑戦を下支えするのが「見切り」というわけです。

 

この「見切り」の判断がプロでも難しい。各分野で相当の経験を積まないといけないため、そういう意味でも鷹山氏は <諸事の値打ち> において「無欲」の次に位置付けたのだと推測します。

 

上杉鷹山氏については、当記事で簡単にしか触れていませんが、内村鑑三(1861―1930)著「代表的日本人」の一人として西郷隆盛二宮尊徳中江藤樹日蓮と並んで選出されるほどの歴史的偉人です。藩主でありながら自己欲を捨て、民(たみ)のために死力を尽くした大人物。その鷹山氏が「無欲」の次に大事とした「見切り」。奥が深いだけに各分野で何度も試行錯誤が必要ですが、私たちの人生(1日)においても、千両の価値に近づけられるよう、頑張っていきたいところです。

 

今回の記事があなたの人生(1日)にお役に立てましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。