人生は創るもの
「自分探し」という言葉が数十年前に流行りました。その時からすれば徐々に使用されなくなったものの、やはり今でもこういう感覚を覚える人も多いと思います。
アイルランドのノーベル文学賞作家で政治家・教育家でもあったバーナード・ショーは次のような名言を残しました。
「人生とは自分を見つけることではない。人生とは自分を創ることである」
彼は運命論など信じず、努力で道を切り開き、その手でノーベル文学賞を受賞されたのだと思います。努力したからこそ作家を生業とでき、さらにノーベル文学賞を受賞するまでに至ったというわけです。
しかし確かに先天性というものは存在し、それを否定することもできません。
が、それとこれとは意外に折り合いがつきます。
例えば幼少から運動神経が鈍い人がスポーツ選手を目指すでしょうか?
幼少から絵心のない人が、画家やデザインの道を目指すでしょうか?
幼少から勉強のできない人が、学者や頭脳労働を目指すでしょうか?
つまり、よほどの都合で余儀なくされた人以外は、先天性の優位に基づく道に自然と進むのだと思います。問題はそこからです。その道でバーナード・ショーの言われる「創る」ことを意識し成した人が、人生に喜びと感謝を享受でき、人生を後悔なきものとできる、というわけです。
では、人生を創るとは具体的にどういうことを指すのでしょうか?
その答えはいろいろあると思います。例えば自己分析を入念にするとか、苦手を克服するとか、強みを伸ばすとか、健康の予防に気を遣うとか、所帯を持ち家族を大事にするとか・・。
当記事では、種々ある「創る」行為の中で、時間の有効活用にダイレクトに左右し、人生の質の底上げに重要な役割を果たす「習慣形成」に触れます。
新しい習慣を形成するコツは、以前の記事「新しい習慣を形成コツ」で取り上げましたので、ここでは割愛し、当記事では「習慣は第二の天性である」をポイントとします。
まず各所で紹介されている名言から。
「習慣は第二の天性なり」
by アウグスティヌス(古代ローマのキリスト教神学者、哲学者)
by 西洋の格言
「習慣によって、言わば第二の天性が作られる」
「習い、性(せい)となる」
by『書経』
「習慣は人生を支配します。それだけに十分に吟味することが必要です。"習慣は第二の天性" といわれるゆえんです」
by しまずこういち(ジョセフ・マーフィー理論の信奉者)
「習慣は自然の若(ごと)し」
by 孔子(春秋時代末期の思想家・儒教の開祖)
「"身についた習慣は、生まれつきの性質におとらないほどその人の生活に影響するものである" ということです」
by ながれおとや(なぞなぞ博士。なぞなぞ作家、言葉遊び研究家)
どれも習慣の力、習慣の大切さを謳っています。
しかし上記の名言以外に、習慣の力をさらにひときわ強調する名言があります。それがこちら。
「習慣は第二の天性であり、天性の十倍もの力がある」
by ウェリントン(ウェリントン公、初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリー / イギリスの軍人・将軍、政治家、貴族)
なんと十倍です。
私はこのウェリントン氏の言われる10倍の力を信じたい者で、信じている者です。
なぜ天性の10倍の力を発揮するのでしょうか?
そのヒントをくれるがアメリカの実業家でフォード・モーター創設者のヘンリー・フォード氏の次の言葉。
「自分で薪を割れ、二重に温まる」
この名言は「自分で薪を割れば体が鍛えられ温まり、割った薪を燃やすことで部屋も温まる、まさに一石二鳥。人をあてにせず、自分でやればいい」といったメッセージを内包します。
「習慣」に置き替えれば、習慣化された時点ですでに温まったわけですが、最初から自分で形成した、形成してきたというプロセスと自負がさらに自分を温めてくれると私は考えます。
そして自分で形成した分、手応え(コツ)が生じますので、その手応え(コツ)をもってさらに別分野の習慣形成への意欲(弾み)につながります。また自分で形成した習慣は油断すれば元の木阿弥の可能性はありますが、だからこそそれを回避すべく大事にしようという精神も生まれようというものです。
そのような観点から私はウェリントン氏の言われる「習慣は第二の天性であり、天性の十倍もの力がある」という言葉を信じます。
繰り返します。第二の天性、すなわち天性の十倍の威力を習慣は包含します。これを手に入れない理由はありません。
そして良き習慣というのは最初に申し上げた通り、内容にもよりますが、時間効率にダイレクトに左右する対象が多いと思います。例えば早起きの習慣、健康の習慣、運動の習慣、忘れ物を防ぐ習慣、掃除の習慣・・などなど。
時間効率が良くなれば、適材適所に時間を配分しやすくなります。それが人生の質を底上げするという意味です。何事も行動と結果の原資は「時間」なのですから。
最後に東レ株式会社取締役および株式会社東レ経営研究所社長を経て、現在は経営者育成事業をはじめ、旺盛な執筆・講演活動に携わる佐々木常夫氏の名言で締めくくります。
「良い習慣は才能を超える」
彼曰く、才能が足りなくても、良い習慣を持つ人は毎日確実に成長を続け、やがて才能ある人を抜いていく、とのこと。彼は実体験だけでなく、部下にもこの言葉とそのための10か条を課し、部下の成長を目の当たりにしました。それだけに説得力のある言葉です。
捕捉でこんな言葉も紹介しておきます。
「習慣は感情に勝る」
"イヤだな・・" "億劫だな・・" と思ったときにも習慣はあなたの味方です。
今回の内容は以上ですが、思いのほか、習慣形成に時間と紙面を使ってしまいました。しかし大枠のテーマは「人生は創るもの」です。
人生を大切にするということは、「1日」を大切にすることにほかなりません。
あなたの「1日」で、素晴らしい人生が創られますことを当ブログより祈念します。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。