"解決"はない「前進してゆく力」
「人生に解決などない。あるのはただ、前進してゆく力だけだ」
そう言ったのはフランスの作家 サン=テグジュペリです。サン=テグジュペリと言えば「星の王子様」が代表作。しかし冒頭の言葉はそこからではなく、1931年に出版された「夜間飛行」からの抜粋です。
さて、そんな彼の人生はいかがなものだったのでしょうか?
実は彼は作家一筋の人ではなく、パイロットを夢見た冒険家でした。貴族の家に生まれた少年は、若いときから空を飛ぶことにあこがれをもちます。期待を胸に海軍士官学校を受験しますが、惜しくも不合格。21歳で民間航空機の免許を得たものの、婚約者の反対に遭い、空の仕事に就くことを断念。やむなく事務員やトラックのセールスマンをしたがいずれもうまくいかずに、婚約者とも破談となります。
それからも彼の、空への仕事の憧れは再燃しつづけます。ようやく26歳に航空郵便会社のパイロットに就くことができました。幸い、当時は航空郵便の新空路の開拓が盛んな時代、彼はモロッコやアルゼンチンに赴任し、危険な仕事も厭わずに飛び回ります。そのときの体験をベースに綴った作品が「南方郵便機」「夜間飛行」。幸い、こちらの2作品が大ヒットを遂げ、小説家としての名声も獲得するに至りました。
その後も彼の前進はつづきます。
1930年代に2度目の冒険飛行に挑戦。第二次世界大戦が始まると、自ら前線任務を志願し、偵察機を駆って対空砲火の中を飛び回ります。1940年にパリが陥落すると、一度はアメリカに亡命するも、祖国のために軍に復帰。1944年7月に地中海のコルシカ島から一人乗りの偵察機で飛び立ち、・・・消息を絶つことになります。
彼のプロフィールは「星の王子様」の名声が強すぎて、「空の仕事」が抜け落ちていることは否めません。しかし実は、「空の仕事」の方が彼の人生を物語っているといえます。若いときは思うように就けず、婚約者とも破談するなど、けっして順風満帆な飛行ではありませんでした。しかし26歳の航空郵便会社のパイロットとなった以降は、彼の操縦は比較的意に則したものだったと見受けられます。
彼が「空の仕事」をあきらめず、「空の仕事」に就いてからも飛躍し続けた力、それが次の言葉に集約されています。
「人生に解決などない。あるのはただ、前進してゆく力だけだ」
この名言は、大小問わず、人生につまずいたときに有効です。
誰かに気に障ることを言われても、
試験でわからない問題に出くわしても、
勉強や仕事でわからないことに出くわしても、
仕事でリストラに遭っても、
人間関係に亀裂が走っても、
投資で失敗して損を出しても、
失恋や離婚をしても、
大丈夫です。「解決」などありません。「前進してゆく力」、それだけが解決策です。
前進していく力の源は?
サン=テグジュペリに「空の仕事」があったように、私たちも現代社会におき、"楽しい" "嬉しい" "ワクワク" するような対象をいろいろ集めることが大切です。と言っても、大げさなものではありません。家庭でもYouTubeでも漫画でもゲームでもなんでもいいのです。
自分にとって大切なさまざまな時間があることが、「前進してゆく力」です。「気持ちの切り替え」と言い替えてもいいかもしれません。
解決が図れることなら、解決に向けての「前進してゆく力」、解決が別の道への模索なら、別の道への「前進してゆく力」です。いずれにしても「前進してゆく力」こそが、結局は「解決」に出くわす要因となります。
解決はいつやってくるかわかりません。前進しなければ解決はありえません。またときに解決しないことも解決となることも忘れてはいけません。
前進していく中で、前進する前には思ってもみなかった解決が図られることもあります。そういう意味では、一刻も早く前進できることが人生に安心をもたらす秘訣と言えそうです。
先日私はこんな名言を紹介しました。
「1つのドアが閉まれば、もう1つのドアが必ず開きます。それはバランスをとるための、自然の法則なのです」
by ブライアン・アダムス (カナダのミュージシャン)
いち早く、もう1つの開いたドアを探しにいかなければいけません。そのための前進です。
「人生に解決などない。あるのはただ、前進してゆく力だけだ」
別のドアに入れば、自然と解決はなされます。それを信じて今日も元気にあらゆることに前進してまいりましょう。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。