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千葉周作の逸話

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幕末の名高い剣客に千葉周作という人物がいました。その周作がある晩2,3人の門弟を連れて品川へ魚釣りに出かけました。その日は、思わぬ釣果が上がり、夢中になって釣っている内に、いつの間にか日が傾いていました。

 

これは、たいへん、日が完全に落ちるまでに陸に帰らなければならないと、急いで帰り支度を始めましたが、釣りに夢中になって かなり沖まで来ていたので、途中で完全に日は落ちて真っ暗がりになってしまいました。

 

松明(たいまつ)を照らして沖へ沖へと魚を求めてゆくうちに方角を見失ってしまいました。 "どちらが陸か?"

 

さすがの周作先生も狼狽して多くの松明をどんどん燃やさせ、四方を伺いますがそれでもまったく見当がつきません。そうこうしている間に、遠く沖まで流されたら、もう帰ることができなくなります。そこで、ますます、必死になって松明で照らすのですが、虚しく時間ばかりが経っていきます。焦りながら海上をさまよううちに頼りの松明が尽きてしまいました。

 

いよいよこれまでか・・と観念したところ、窮すれば転ず 転ずれば通ず、あたりが真っ暗になるにつれ闇の中にくっきりと濃い陸地の影が見えてきたではないか。

 

一同は歓呼の声を上げました。

 

後日周作がその体験を知人の漁師に話します。漁師はニコニコしながらこう言いました。

「先生らしくもないことです。松明では陸は見えませぬ。松明は足元を照らすもの。遠い方を見るときは返って光が邪魔をします。そんなとき私たちはわざと松明を消すのです」

 

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この話の教訓は2段階に分かれますが、1段階目は以下の3点に整理されます。

 

1. 陸はある(見える)と信じ、信じ切る

2.そのための方法を考える

3.2.の周知を集める

 

話しだけをなぞれば、千葉周作氏は「2.と 3.」の視点が弱かった、ということになります。

 

教訓の2段階目は以下の2点に整理されます。

 

1.松明は足元を照らすもので、ゴール(陸)を照らすものではない

2.足元を照らす松明を消すことで、ゴール(陸)は見えやすくなる

 

私たちの足元を見つめてもゴールは見えません。ゴールのために足元を活用し楽しむ、それが本質です。ですので、目先でイヤなことがあったりトラブルがあったときに、ゴールを保持する人は、寛容に受け止めたり受け流したりできる一方、ゴールがない人や見失う人は、その目先がすべてとなり一喜一憂を余儀なくされます。

 

上掲の話ではゴールは陸で、陸は確実に存在しました。そのための方法も確実に存在しました。しかし陸の探し方を「足元に松明を照らす」という1種類から脱却できず、結果、松明が尽きるという僥倖に出会わなければ、本当に万事休すだった可能性があります。

 

また目先に焦点を当ててもゴールは見えない、ということも重要です。よく「木を見て森を見ず」と言いますが、大局観を見失わない大切さ、現在地だけでなく、目的地との2点に立体的・多角的な視点を持つ大切さを説きます。この点においては、ソフトバンク孫社長も名言を持たれます。

 

「近くを見るから船酔いするんです。100㎞先を見てれば景色は絶対にぶれない」

 

私たちは大切で本質的なことほど軽視しがちで忘れがちです。しかし上掲のような逸話で理解されると印象として残り記憶に定着しやすいと思います。おそらく孫社長も事あるごとに100km先の景色を見ながら、今なお経営に勤(いそ)しまれていることと思います。私たちの人生(生活)も、目先に一喜一憂せず、壮大な景色で今を捉えたいものです。

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。