音楽の快感はアルコールと同じ脳領域
これまでの研究では、「音楽を聴くと刺激される脳の動きは、アルコールや薬物を摂取した時と似たような動きをする」とは、なんとなくわかっていました。
しかし、カナダ・マギル大学の神経科学研究チーム 研究主任のアーネスト・マス・へレロ氏は「音楽の快楽がなぜ脳を活性化させるのか、証明されていない」と話し、そのことを明らかにするための実験を行いました。
まずポップミュージックを好む17人の被験者に音楽を聴かせ、快楽のレベルを示す4つのボタンのうちの1つを押すように指示。その結果、音楽を聴いている間は快楽を感じ、音楽を止めた時に快楽が減少することが判明しました。
ではこのときの「快楽」とは何だったのでしょうか?
それが「ドーパミン」です。脳は、ドーパミンを分泌しており、脳内の報酬系という神経系が活性化していたことがわかったのです。
いったん話をアルコールに変えます。
私たちがアルコールを摂取すると、適度な飲酒は体にいいと言われる反面、飲酒は1ミリも好影響をもたらさないばかりか、悪影響を及ぼすとする報告もあります。正直どちらが正しいかは私はわかりません。
しかしアルコール依存症という言葉がある通り、アルコールには依存物質が含まれ、"適度"を守ることが難しいことがあげられます。その依存物質というのが「ドーパミン」。ドーパミンは物質と言いましたが、正確には脳内ホルモンの一種です。
「ドーパミン」は脳内の報酬系という神経系を活性化させます。報酬系の神経系にもさまざまがあり、食欲や睡眠、性欲などの本能に根差した「動物的報酬」、目標や願望達成のような「人間的報酬」、またアルコールや薬物のような「短絡的報酬」です。
この「短絡的報酬」が要注意です。「短絡的報酬」は摂取すればすぐに快楽を得られるため、脳はそれを求めるようになります。そして頻度多く得てしまうと、脳もそれに変化するようになり、一般的な動物的報酬や人間的報酬では満足ができなくなります。するとハイリスクな刺激を求めるようになり、それが脳を壊していきます。それほど脳はすぐに快楽を得られるものに弱く、それに依存してしまう脆弱さをもっています。
話を音楽に戻します。
今回の実験で音楽はその「短絡的報酬」に含まれることがわかったため、音楽とアルコールや薬物による快楽は、脳の処理としては同じメカニズムが働きます。
それでは音楽を聴くのをやめた方がいいのでしょうか?
下の記事では特に書かれていませんが、音楽を聴くことで(アルコールや薬物と違い)体が蝕まれることはないという意味では、安心して聴いてよいと私は思います。下の記事では、音楽が好きな人が音楽を聴き続けることのしくみがわかったと、科学的な見解にとどまっています。
また音楽にもリラクゼーションやアップテンポと、さまざまな曲調があります。今回の実験はポップミュージックとのことですが、自分の気分に応じてさまざまな曲調をアプローチできることは、脳の生産的活動に一役も二役も買えることと思います。
せっかくこの世に音楽が生み出されているなら、上手に音楽を活用し、自分の脳をできるだけ快活に整えていきたいものです。
音楽の快感はアルコールと同じ脳領域
あなたはいかがお感じになりますか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考記事