「自分を大切に扱う」ということ
脳科学者の中野信子さんは著書「脳はどこまでコントロールできるか?」で、自分を大切に扱うメリットをお話しされています。主旨はこういうことです。
自分を大切に扱えば、相手も大切に扱ってくれる。その逆に、自分を粗末に扱えば、相手も粗末に扱ってしまう。
これは通称「割れ窓理論」で証明されています。人間ではなく割れた窓が対象ですが、窓が1枚でも割れていると、2枚目を誘発し、2枚目も割れると3枚目以降を誘発するというもの。やがて街全体が腐敗することにつながります。
私たちの身近でも、例えばゴミ収集場所でない場所にゴミが置かれていた場合、たとえ正規のごみ置き場でないとわかっていても、”ま、いいか"と2つ目、3つ目とゴミを置いてしまいます。つまりは、ゼロからイチは心理的ハードルは高いが、イチからニはずっと軽くなり、数が増えれば増えるほどハードルは低くなります。
この理論とまったく同じというわけではありませんが、自分を大切に扱っていないと、他の人も"大切に扱わなくていいんだ"と感じ、大切に扱わないといけないハードルがその分低くなります。
これは言い得て妙だと思いました。確かにその通りで、まずは見た目で粗末な服を着ているとそれだけで、その人が安っぽく見えます。私たちは直感的に自分を大切に扱っている人をそれと同じように扱おうとし、自分をぞんざいに扱っている人を、これもまた同じように扱おうとします。
そして極めつけは、私たちはどこかで「自分を大切に扱っている人」を好ましく思う生き物です。気品に溢れるというか、気高く感じさせられ、畏敬や尊敬の念を覚えることも少なくありません。
「人の振り見て我が振り直せ」という言葉がありますが、自分だけではピンとこなかったことも、人を見てピンとくることは多々あり、「自分を大切に扱う」こともそうではないでしょうか。何も見た目だけではありません。安請け合いやおべんちゃら、ごますりや過ぎた謙遜なども同様です。あまり自分を安く考えない方が良く、それは誰も望んでいないことなのかもしれません。
「自分を大切に扱う」ということ
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