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「不安」と共存して生きる

数日前に私は「65歳で司法試験合格」という記事を書きました。合格したのは吉村哲夫さんという元公務員の方です。記事に貼付した参考記事には動機やプロセスが詳しく書かれていなかったのと、吉村さんが2015年に出された「65歳で司法試験合格 私の勉強法」という著書があることを知り、先日にさっそく読んでみました。

 

 

吉村さんは九州大学法学部を卒業後、福岡市役所に入庁しますが、このときから民間の様々な資格を取られたり、30代後半には英検1級に合格されたりと、もともと勉強グセがおありの方でした。

 

それもあってか、定年退職が視野に入った50代後半に、このままゆったり田舎暮らしをするか、さらにやりたいことに挑戦するか、真剣な自問を始めます。結果、”自分は勉強を続けてきて、60代も仕事を手に成長したい!”という望む方向を明らかにし、2010年に定年退職、2011年に京都大学法科大学院に入学、2014年に司法試験に(最高齢で)合格と、怒涛の挑戦を始めます。

 

本日申し上げたいことは、”人は何歳からでも挑戦できる” という月並みな内容ではなく、同書を読み、私が個人的に印象に残った「人は不安と共存して生きる生き物」ということについてです。

 

吉村さんは実は極度の上がり症で、人前に出れば頭の中が真っ白になり、心臓もバクバク、試験中にも手が震えるほどの筋金入りと言われます。その克服に精神医学の世界で有名な森田療法をベースとしたいくつかの書籍を読み、現実的なアタックを続けた結果、少しはマシになったものの、克服までは至りませんでした。克服が緊張自体をしないことを意味させるなら、吉村さん曰く、体質的に無理であると言われます。

 

吉村さんの人生的な壁は、極度の上がり症だけではありません。司法試験の勉強においても多数に存在します。勉強が気乗りしない、1回目は不合格、常に腰痛持ち、片目が緑内障で見えない、法科大学院での20代とのコミュニケーションなどです。

 

しかし同時に、喜びもまたその裏返しであると、著書を読めば伝わってきます。勉強には形から入ることやパラシュート勉強法、1回目の不合格では希望の活路、腰痛持ちもは奥様への感謝、などです。

 

ひとつひとつの詳しい解説は割愛しますが、ここでは吉村さんが「極度の上がり症を克服しようとした姿勢」から「人生に幸福をもたらす姿勢」を汲み取れる箇所を(同書から)抜粋します。

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人は皆、様々な困難に遭遇しながら、苦痛と共に人生を生きているのです。緊張型人間だけが苦痛を味わっているわけではありませんし、もっと、辛い目にあいながら、苦痛に耐えて生きている人は、数限りなく存在します。自分だけが、何の苦痛もなしに、人前で緊張するということから楽になりたいというのは、甘えに過ぎません。

 

苦しみながらも、逃げずに、恐怖突入して、ともかく、話の場に立つ、棒読みでもいい、声が震えてもいい、今できる最大限のプラスの行動をし、たとえ、その場がうまくいかなくてどんなに落ち込んでも、ひるまずに、諦めずに、飽くことなくその行動を積み重ねていくべきだというのが森田理論の考え方です。

 

私は、森田理論の本を貪るように読み、学習会での勉強を深め、約40年間、この人生観に従って、緊張とともに人生を歩んできました。

(中略)

私は、このような経験を自慢しているのではありませんし、全く緊張しなくなったと言っているわけではありません。大事な話をする場合は、当然のことながら、今でもとても緊張します。しかし、緊張しても、「自分は何を伝えたいのか、何を話すのか」という目的品位に、避けることなく、逃げることなく、その場に立ち、恐怖突入してきたということが言いたいのです。

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いかがでしょうか。

 

「恐怖突入」という言葉が印象的です。現在の力量の範囲内で生活をすれば、緊張も失敗も極力減らせることでしょう。しかし減らせた分だけ「後悔」を募らせるかもしれません。どちらのポジションを取るか、それがその人の人生観です。吉村さんは迷わず「恐怖突入」の道を選びました。

 

60代のおじさんが20歳前後の学生と、同じ教室で呼吸をするだけでも(ある種)辛いことです。吉村さんも最初は戸惑いしかなかったと言います。しかし徐々に打ち解け、語り合い、仲間となって助け合うまで心を開き続けました。こんな経験ができる60代はそうそうにいらっしゃいません。それがそのまま美しい思い出と変わりました。

 

 

現状にもそれなりに幸福は感じられますが、その幸福はいたって短期的で、それゆえ後には何も残りません。しかし「恐怖突入」の中には、結果、失敗することや恥をかくことは多数にある反面、一歩踏み出した功績は次の一歩につながります。やらずに終わったという後悔もなくせます。結局失敗や恥は成長や幸福に避けては通れない道であるということで、常にそれを意識しなければ私たちは本当に現状に埋もれ、何も残らない月日を重ねてしまいます。

 

・人は「不安」と共存して生きる生き物

・「不安」こそが成長と幸福の友

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。