「中長期」の視点
私たちの多くは目の前のタスクを処理し続けることで、一日や一年をなんとなく満足させているような気がします。数年前からいろいろなところで引用されている、かのスティーブ・ジョブズの名言が持ち出されることもしばしばです。
「将来を予想して、点(知識や経験など)と点をつなぐことはできない。 後々の人生で振り返った時にしか、点と点をつなぐことはできない。 今やっていることが、将来、自身の役に立つ(点と点がつながる)と信じて取り組みなさい。」
この名言です。将来を考えずに今に打ち込むことが大切であると。しかしここで立ち止まって考えなければいかないことに、「今に打ち込む」とはどういうことを指すのか?です。
例えば受験生(高校3年生)が大学進学などを考えずに、ゲームセンターに通いつめたり異性と花を咲かせることは今に打ち込んでいると言えるのでしょうか?おそらく「違う」と答える人が多いのではないでしょうか。
では大学受験に打ち込むことだけが、今に打ち込むということなのでしょうか?
それもなんだか違う気がします。では何なのか?
結局、それを分かつ解が「中長期」の視点ということになるのだと思います。数年後にどんな仕事に就きたいのか? どんな道を歩みたいのか? その方向性がなければ「今」を活用することは難しいでしょう。目的地がわからずに浮遊する小舟を思い浮かべてみてください、頼りないこと極まりないです。目的地があるからあらゆる波を乗り越えようとするわけで、目的地を自分で見出さずして、波は乗り越えられません。おそらく沈没します。
IT大手のサイバーエージェントを経営する創業者・藤田晋さんは、ITバブルが弾けた当初、村上ファンド率いる村上さんらに会社を乗っ取られそうになりました。そのときに救いの手を差し伸べたのが楽天の三木谷社長で、10億円を出資し、村上ファンドの持ち株比率を下げたという話は有名です。
ITバブルが弾けた当初から藤田さんは、株主に株価回復の目処を攻め立てられ、三木谷社長への恩返しも相俟って、売上や利益の向上を短期にしか見ることができなくなったそうです。しかし息抜きに三木谷社長と競馬?だったと思いますがご一緒された際、三木谷社長に「中長期の経営を目指してるんでしょ?だったら自分の信念を貫けよ」と諭され、藤田さんはふと我に返ったそうです。
ソフトバンクの孫社長も、「迷ったときほど遠くをみよ」と言われています。船で言うと、目先ばかり見ていては船酔いするが、遠くを見れば凪であると。もっと大局的な視点を持とうよ・・という教えです。
「逆算」という言葉がありますが、ゴールから逆算して今を捉える思考は、自分の悔いなき人生を形成するうえでとても大切なことです。誘惑物にふらふらと乗っかることが「今を生きる」ことではあらず、逆に自分に価値ありと認めた目標に向かって、一歩踏み出し続けることが「今を生きる」ことだと私は思います。そこには理性や計画性と右脳を使ったビジョンの両輪が必要で、そのためには逆説のようですが、きちんと休憩(メリハリ)を取ることも大事になってきます。
中長期の視点に立ち、自分に価値ありと認める目標をまず据える。そこに期限を設け、さらに期限を細分化。細分化した目標を一日一日こなすなかで、ビジョンをより明確化する。そういうことだと思います。
「中長期」の視点
投資も同様です。中長期の視点に立つから株価下落時も積み立てられます。中長期でグローバルな経済成長を信じられるから、積極的に積み立てられるのです。結局中長期を見ている人と、見られない人は、今日への打ち込みや中身が変わり、前者は未来をも掴んでいくのです。
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