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「相続税」賛否の考察

私は前回の記事「お金は預かり証」で、私有財産という言葉を用いました。一般的にお金は個人のもので、その使い方は当人の自由という、ごくごく当たり前の話です。その私有財産を子々孫々にまで時間軸を延ばして考えることはいかがでしょうか?

 

すなわち相続税など極端に言えば0%でいいという考えです。相続税を取ろうとするから、下手に節税対策などを画策しなければならなくなるわけで、そのこと自体が日本にとって有益ではないということです。

 

この考えは相続税に限らず所得税にも通ずることですが、ここでは所得税は置いておきます。節税対策をしたり、相続税逃れのために暦年贈与をしたりと、租税回避をさせること自体が愛国心を削いでしまうというメンタリティを考えます。

 

逆に相続税が一律20%とか10%、はたまた0%だったとしたら、節税対策や租税回避に時間や労力を割かなくてよくなります。のびのびとした姿勢で稼げますし、気持ちよく相続税も払えることでしょう。(もちろん人にもよりますが)

 

しかしこの考え方は大きく2つの疑問を生じさせます。

・出発点から格差が生じる

・財源が減る

 

「出発点から格差が生じる」というのは、いわずもがな、生まれもってのお金持ちと、そうでない人たちとの格差のことです。言い方を替えれば富む者は富み、富まざる者は富めないということ。所得の再分配相続税によってもたらされない状態です。

 

「財源が減る」というのは、こちらも文字通り相続税累進課税より摂れなくなるわけで、その分税収が減るということです。

 

しかし相続税を疑問視する一部の人らは、この2つの疑問を問題視しません。まず相続税の負担が少なくなれば、現役世代は少しでも家族や子供に資産を残してあげるべく、仕事やその他に一生懸命になれます。そして実際に子供に残してあげれば、その子供も、自分の家族や子供に同じように残してあげようと現役時に仕事やその他に頑張れます。そのプロセスで自ずと雇用の創出がなされ、持たざる者(お金持ちでない人たち)へも恩恵がしたたり落ちる(トリクルダウン)という考えをもちます。

 

税収についても、先述と同じく、裕福な者は愛国心がベースに育つため、租税回避や節税対策に勤しむ時間を仕事や寄付など、日本のためになることをするようになります。するとグロスの税収は相続税から摂らなくても、相続税以外の税から同等かそれ以上に摂れるという考えです。

 

ざっくりとした解説は以上です。さて、はたしてそんな感じで機能するのでしょうか? 私が本日、この議題を持ってきたのは、先日に次の本を読んだからです。

 

石村一成著「お金の教科書」(2020年11月発売)

 

著者の石村さんは株式会社セルネット代表で医志塾塾長も務められています。高校卒業後に渡米し、渡米先でさまざまな富豪に出会い、それがきっかけでお金の研究をされたとのこと。

 内容の中身は同書に譲るとして、各チャプターごとにコラムが設けられ、そのコラムの一つに石村家の家訓が紹介されています。そのタイトルは「子に財産は残さない」です。

 

どういう内容かというと、石村家ではおじいさまの代から、子に財産は残さないという家訓があるそうで、その理由は次から来ています。

「自分の代で世の中に良いことをして稼いだ者でないと、財産を大きくすることはできない」

つまり財産やお金は受け継がれて手にするものではなく、自分で一から築き上げるものという家訓です。そこで重要になってくるのが(お金の)教育です。魚を与えるのではなく「魚の釣り方=教育」を教えるのです。

 

石村さんの考え方を踏襲すれば、相続税は極端な話、100%でもいいということになります。実際にそういう考え方を持たれる方も多くいます。またそのような税制なら、自分の代で大半を使い切ろうとするため、消費や投資につながり経済に好影響をもたらします。

 

世界一の投資家 ウォーレン・バフェト氏も子供には資産を最低限しか残さないと表明しています。子供がマイホームのローンをバフェット氏に頼んだ際も、銀行から借りればいいと突き返したという話は有名です。バフェット氏は、前回申し上げた「お金は社会から一時的に預かった預かり証に過ぎないため、いずれ生前のうちに返さないといけないもの」という考えのほかに、アメリカン・ドリームはゼロから成り上がれることを意味し、そのためには生まれもっての資産格差はそれにそぐわない」という考えももたれます。

 

バフェット氏自身がアメリカン・ドリームを果たしたからこそ、それを果たすのに資産は最低限でよく、逆に余裕資産は邪魔になるという考えなのだと推測します。

 

あれこれと相続税の賛否を語りましたが、あなたはいかがお感じになりますでしょうか? 私自身は特に何が正しいかはわかりかねますが、おそらく石村さんやバフェット氏の考え方が大半だと思います。しかし誰しも税金はもっていかれたくなく、私自身も仮想通貨の売買だけが(株やFXとは異なり)雑所得扱いであることに一抹の不満はあります。

 

政府からすれば「法定通貨でないバーチャルなマネーゲームに過ぎない」と思われていると思いますので仕方がないことではありますが、稼げば稼ぐほど税金として持っていかれるモチベーションは相続税に限らずすべての税に共通します。そのような観点から、相続税を一律20%、もしくは極論0%にするという考えも無視はできないと思います。また税率が低くなれば個人・法人問わず海外流出が避けられ、海外流入外資参入)も助かることでしょう。そうすれば税は低けれど、裾野が広がるため、結局はそちらのほうが結果オーライということも考えられます。

 

答えはありませんが、日本の税制に疑問を持ち、海外に移住される方が増えている昨今、自分の考えを整理できると、今後の展望に少し役に立つかもしれません。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。