「無駄な時間」とは?
前回、前々回に引き続き、本日も 水上颯著「頭を鍛える5つの習慣」からお届けします。
彼は1,2年前まで数々のクイズ番組で活躍されていました。あなたもご存じかもしれません。「頭脳王」「東大王」「Qさま」など、優勝経験も多数お持ちです。
そんな彼は、膨大な知識を得るために、とても大事にしていることがあります。それは「時間」です。開成高校や東京大学という環境が大きく影響してのことかもしれませんが、少なくとも私が10代、20代のときは、まったくその貴重さに気づけず、気づけたのは30代前半くらいからです。(現在40歳)
では「時間」を大切にするとは具体的などのような意識(感覚)なのでしょうか?実際に彼の言葉を聴いてみます。
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僕自身、貴重な1分1秒を生きているわけですから、あとから振り返って「何をしていたかわからない時間」をつくらない、ということを心がけつつ、毎日を送るようにしています。この「何をしていたかわからない時間」というのは、「頭を使っていない時間」と言い換えてもいいかもしれません。
(中略)
もっとも、だらだらすること自体が悪いわけではありません。「ちょっと疲れたから、何も考えないでぼーっとしていよう」と思ってだらけるのは、自分の心身の声に敏感になってやっていることなので意味があります。要するに、ちゃんと目的意識があればいいのです。
(同書より抜粋)
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また出てきました。"あとから振り返って・・"というフレーズです。受験エリートは押しなべて将来を見据えて現在を生きるという「時間割引率」の低さを感じます。
前回も「時間割引率」という言葉を使いましたが、時間割引率の低い人は、今日の100円より1週間後の120円を選択できます。しかしほとんどの人は"食事に気をつけないと"とか、"運動をしないと"とか、受験生なら"勉強をしないと"、など、頭ではわかっていてもそれを実行に移せません。事態が表面化しても、改められない人もいるくらいです。
ではどういう時間が「後から振り返って何をしていたかわからない時間」になるのでしょうか?
それは彼が言われているように目的意識のない時間です。彼は一例に「テレビをだらだら見ている時間」を出されていますが、私流に言い換えれば「感情に流され、洗脳された時間」と言えます。
テレビはもはや洗脳の時間です。ドラマやバラエティなど、本当に自分が観たいものを見る時間は別ですが、なんとなく付けたテレビが、続きが気になって1時間、2時間と観てしまった場合は、観ているのではなく観させられていると言えます。
感情に流される時間も後から振り返って何も残りません。上司に嫌味を言われたことを何度も反復し、自宅に戻ってもイライラするときなどがいい例です。逆にとても楽しい時間を過ごしたときも同様です。こちらは何度反復しても"いい感じ"になるかもしれませんが、"今"の時間を活用できているかと言われればやや疑問です。
しかし、水上さんは並外れた意思の固さがあって実行できているわけではありません。まずは意識持ちつつも、実行に移すためにはスマホの中のアプリを厳選したり、勉強や作業中はスマホを遠くに置いたり、すきま時間を活用できるようにあらかじめリストを作成したりと、準備をきちんとしています。つまり意志だけでは実行できないことを自覚しているのです。実際に彼の言葉を見てみましょう。
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僕は、「スマホを手にする時間を減らす」と決めました。もっとも、そう決めただけで実践できるほど僕の意思は強くありません。友達からのLINEを返したあと、そのままだらだらとTwitterを見てしまったりします。
そこで、充電器を机やベッドなど自分が長い時間過ごす場所から遠いところに置くようにしました。家に帰ったら、すぐにスマホはそこにもっていき、よほどのことがない限り手に取らないようにします。
外出先では、スマホはカバンの中に入れておきます。ズボンや上着のポケットだと、無意識のうちに取り出して見始めてしまうからです。要するに、スマホについては「手の届かないところに置かない」という状況をつくるようにしています。単純なようですが、これが一番効果があります。
(同書より抜粋)
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やはり環境から入っています。彼に限らず、一見意志が強そうに見える人ほど、蓋を開けてみれば環境設定(環境配備)に余念がないという話はよく聞きます。もう一か所、彼の時間に対しての考えをご覧ください。
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僕は今、医師国家試験を控えているので、すきま時間にはスマホのアプリで過去問を解いています。1問1分くらいで解けるので、待ち合わせ場所にちょっと早く着いたときなど、ごく小さな時間でも有効活用できます。
少し長いすきま時間があるときにおすすめしたいのは読書です。2,3分ではさすがにほとんど読み進められませんが、10~20分ぐらいあれば、ある程度まとまった量を読むことができます。僕は移動中など、少し長めの空き時間があるときには、もっぱら本を読んでいます。そのための本は必ずカバンの中に入れて出かけます。
(中略)
このように、2つの活用法を準備しておくことで、すきま時間を有意義につかうことができるようになるのです。
(中略)
でも、少し厳しいことをいうようですが、僕たちに潰している「暇」なんてあるんでしょうか。本当は、その時間はとても貴重なもののはず。スマホをいじる代わりに、何をするかを真剣に検討する必要があるように思えます。
(同書より抜粋)
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いかがでしょうか。彼が著書を書き下ろしたときは、まだ大学生です。20代前半でこんなにも時間にシビアになれるところに感服します。
「後から振り返って何をしていいかわからな時間をつくらない。そのためには隙間時間をも、目的意識をもって活用する。そのためにはあらかじめ隙間時間別のリストを作成し、用意すべきものはいつも持ち歩くようにする。」そういうことだと思います。
私もそれなりに意識はしていましたが、彼に比べれば、まだまだ意識が甘かったかもしれません。何を成し遂げたいのか、何を目指しているのか、何が自分を喜ばせるのか、その自己分析の明確さが、時間活用の扉を開けてくれます。
「無駄な時間」とは?
『あとから振り返って「何をしていたかわからない時間」』。
あなたはいかがお感じになりますか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。