「時間銀行」1
前回の記事「脳に時間軸はない」につづき、本日は時間つながりで「時間銀行」をお届けします。2008年5月に出版された本に次があります。
吉田浩著「あした元気になるために人生の時間銀行」
(著者の吉田さんのプロフィールは2008年当時で天才工場代表・童話作家。代表作に45万部発行の「日本村100人の仲間たち」)
本書は字面の少ない絵本のように、時間についての貴重さがシンプルにまとめられます。実際は絵ではなく写真ですが、なお言葉を連想しやすくしてくれます。
さて、私たちの時間は命そのもので、なんとその命(時間)は貯金できません。お金は積み立てられ、積み立てられた額は一片にでも、少しずつでも取り崩せますが、時間はそういったことができません。
そうです、時間は「使い切り」だったのです。そのことを吉田さんは砂時計をイメージさせるように次のように教えてくれます。
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私たちは、ひとりひとりが同じように銀行を持っています。
それは<時間>です。1日の始まりに、あなたには、8万6400秒が与えられます。1日の終わりに、あなたが使いきれなかった時間は消えてしまいます。
時間は貯めておくことができません。時間は貸し出すこともあげることもできません。
もし、その日の預金を使いきれなければ、あなたは大変な損をしたことになります。
(同書より抜粋)
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本記事では"時間は貯金できない"ということを高らかに唱えたいわけではありません。確かにとても大事なことですが、それはあなたも十分にご存じです。
そうではなく、時間の貴重さを私たちの実生活でどのように生かすのか? 本日はそこに焦点を当てます。キーワードは他者がもたらしてくれる「イメージ」です。
自分にタイムプレッシャーを強いても、所詮は自分事。いくらでも約束は破れます。また1回破ってしまうと、破ることに抵抗がなくなります。これでは刺激になりえず、脳に適度な負荷を与えられません。
そこで「他者の本気」をもってくるのです。自分で自分を課せられないのならば、他者が自分を刺激してくれます。この世は自分だけの世界ではありません。資本主義社会とはいえ、他者と共存共栄する場所です。そんな他者の頑張りが私たちの脳や生き方に影響を与えないわけはありません。人によって刺激されるポイントは異なるかもしれませんが、必ず一致するところもあります。
脳にはミラーニューロン効果といって、周りの行動をみて、自分も同じように行動する(鏡のようにまねる)神経細胞脳の働きがあります。自分の脳が他者の本気(活躍)に刺激されれば、自分も自然と同じような意識(心持ち)で目の前の物事に打ち込める、そんな風に思っています。
それでは吉田さんの言葉を見てみましょう。
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1年の価値を理解するには、
入学試験に失敗した学生に聞いてみるといいでしょう。
1ヵ月の価値を理解するには、
お腹にあかちゃんのいる母親に聞いてみるといいでしょう。
1週間の価値を理解するには、
週刊誌の編集者に聞いてみるといいでしょう。
1時間の価値を理解するには、
待ち合わせをしている恋人たちに聞いてみるといいでしょう。
1分の価値を理解するには、
ちょうど電車を乗り過ごした人に聞いてみるといいでしょう。
1秒の価値を理解するには、
たった今、事故を避けることができた人に聞いてみるといいでしょう。
0,1秒の価値を理解するためには、
オリンピックで銀メダルに終わってしまった人に聞いてみるといいでしょう。(あらゆる陸上競技の選手と、あらゆる水上競技の選手が、たった0,1秒を縮めるために、何万時間と練習をしています)
(同書より抜粋)
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いかがでしょうか。
その時その時の時間の貴重さがリアルに伝わってこないでしょうか?
12年前に発売された本ですが、テーマが"時間"だけに、内容はまったく色褪せません。そして吉田さんが紹介された事例以外にも、私やあたなが自身で各種の事例を見つけ出し、どんどんミラーニューロン効果と落とし込めれば、その分だけ時間の貴重さが実感でき、行動力の促進につながると思います。
同書の"時間"については、さらにあなたにお届けしたい内容が詰まっているため、次回もつづけてお送りします。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。