「個人年金保険」の軽減税額
私(leonet0702)は保険会社に勤める会社員(39歳)で勤続11年目です。1級ファイナンシャル・プランニング技能士のの資格も保有します(2019年取得)。それらの経験をもとに、本記事に記します。
突然ですが、あなたは生命保険会社等で扱う「個人年金保険」に加入されていますか? 医療保険や死亡保険等は「保障性」、一方個人年金保険は「積み立て」です。
私が勤める会社は生命保険の商品を販売しますが、生命保険は「保障性商品」と「積立商品」に大別されます。病気や災害を原因に保険金(給付金)が支払われる分野を「保障性商品」、将来のために積み立てをする分野を「積立商品」と呼びます。
本日は「積立商品」について。
現在どこの保険会社も積立商品と言えば「個人年金保険」の一択です。その個人年金保険も「個人年金保険」と「変額個人年金保険」に分かれ、現在「変額個人年金保険」を扱う会社は非常にまれです。
つきましては、本日は「個人年金保険」について紹介します。
その前に念のため「変額個人年金」の特徴を申し上げます。「変額個人年金保険」は、株式や債券を中心に特別勘定で資産運用をし、運用実績によって将来に受け取れる年金額、死亡給付金額、解約返戻金が変動するしくみです。よって契約者に投資リスクが伴います。高度経済成長期はリターンも取りやすく、人気を帯びましたが、現在は低迷し、ほとんどの会社で販売中止です。
さて、「個人年金保険」ですが、実はこの「個人年金保険」にも「確定年金」「有期年金」「保障期間付終身年金」に分かれます。
こちらも現在「有期年金」と「保障期間付終身年金」を取り扱う会社はほぼありませんので、以下個人年金保険は「確定年金」とお読み替えください。
結論、私は「個人年金保険」の加入をお勧めします。
なぜでしょうか?
それは毎年 年末に「所得控除(個人年金保険料控除)」を受けられるからです。ところで「所得控除」はご存じでしょか? 所得控除は社会保険料控除を始めとし、医療費控除や地震保険料控除などさまざまにありますが、あなたが会社員でしたら年末調整のときに控除証明書を提出し、給与所得額(総所得金額)から控除分を差し引き、差し引かれた課税総所得金額に税率をかけて税額を算出します。
つまりは所得控除が多ければ多いほど、節税になります。
現在所得控除は10種類以上ありますが、生命保険で扱う控除は3種類。それが「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」。本記事は個人年金保険料控除にスポットを当てます。
個人年金保険料控除の控除限度額は「所得税4万円・住民税2,8万円」です。この控除限度額を利用するには、個人年金保険の保険料に年間8万円を支払う必要が出ます。年間8万円は、月になおせば7千円弱。通常保険料は千円単位のため千円単位とすると最低7千円/月ということになります。
毎月7千円を個人年金保険に(保険料として)支払えば、「所得税4万円・住民税2,8万円」の所得控除を受けられます。
では「所得税4万円・住民税2,8万円」を受けたとして、税額でいくら軽減されるのか?
それは年収により変わります。下記をご覧ください。(会社員で給与収入のみと仮定した場合)
給与収入300万円:4800円
(所得税軽減額2000円+住民税軽減額2800円)
給与収入400万円:4800円
(所得税軽減額2000円+住民税軽減額2800円)
給与収入500万円:4800円
(所得税軽減額2000円+住民税軽減額2800円)
給与収入600万円:6800円
(所得税軽減額4000円+住民税軽減額2800円)
給与収入800万円:10800円
(所得税軽減額8000円+住民税軽減額2800円)
給与収入1000万円:10800円
(所得税軽減額8000円+住民税軽減額2800円)
あなたが仮に給与収入300万円~500万円だとした場合、所得税額と住民税額から計4800円が軽減できます。言い換えれば、控除を受けることで4800円のキャッシュバックを受けられるということ。
もしあなたが現在未加入でしたら"加入すればもらえる4800円を取り損ねている"という見方もできます。(あくまで毎月7千円の負担が問題ない方に限ります)
次に個人年金保険(確定年金)の内容です。確定年金はその字の通り「確定」している年金のことで、例えば私(39歳)が65歳~74歳を受取期間とする「10年確定年金」に加入したとします。
受取期間である65歳~74歳の10年間に私が途中で亡くなっても、遺族(後継年金受取人)が残りの年金を受け取れます。そして39歳~65歳までの積立期間(保険料払込期間)に私が亡くなっても、死亡給付金という形でそれまでの払込保険料相当額(元本割れはしません)が遺族に支払われます。
唯一の注意点は積立期間(保険料払込期間)に途中解約することです。私の場合でしたら5年目の43歳からは元本(払込保険料)に対し90%以上は保障されますが、100%に達するには63歳でようやくです。ですので途中解約は要注意です。しかし数年経てば90%以上は戻るため、そこまで恐れる必要もありません。(参照元:私の勤める会社の個人年金保険。利率は定期的に改訂され、本記事は2020年6月現在の利率に基づきます)
整理します。
私が「個人年金保険(確定年金)」の加入をお勧めする理由。
それは所得控除(個人年金保険料控除)を受けることで、毎年4800円(年収300万円~500万円)が税額から軽減されるため。毎月7000円を銀行貯金して、4800円の利息が付きますか?ということです。
7000円×12ヵ月=84000円
4800円÷84000円=5,7%
利回り5,7%(単利)
現在の個人年金保険(確定年金)の利息に付いても触れておきます。先の私の例で39歳~65歳まで積み立てて、65歳~74歳の10年間で受け取る場合、どれほどの利息が付くのかと言えば、元本(払込累計額)が218,4万円、10年間の受取総額が224,7万円、たった6万円です。(参照元:私の勤める会社の個人年金保険。利率は定期的に改訂され、本記事は2020年6月現在の利率に基づきます)
しかし考えようによっては、仮に軽減税額が4800円なら「4800円×26年間=12,4万円」を利息としてカウントしても計算上は間違いではありません。そして積立期間が長い人ほど、4800円の利息は摘み取れます。
老後に受け取る年金額や運用益も大切ですが、毎年の所得控除による軽減税額に目を向けることも実際(トータルリターン)を見誤らない観点で大切です。
また、毎月7千円の支払いが厳しい方は、7千円未満でも(個人年金保険料)控除は受けられ、応分に税額は軽減されますのでご安心ください。
「個人年金保険」の軽減税額
あなたはいかがお感じになりますか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
※個人年金保険に個人年金保険料控除を適用させるには「税制適格特約」を付加する必要があり、付加するには所定の条件が必要になります。もし条件に満たさず付加できない場合は、個人年金保険料控除ではなく「一般生命保険料控除」の適用が可能。ただし一般生命保険料控除の控除限度枠の範囲内に限ります。