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「公的年金」の盲点2

1級ファイナンシャル・プランニング技能士の「leonet0702」です。

 

前回の記事「公的年金の盲点1」のつづきです。前回は「障害年金」についてお話ししました。本日は「遺族年金」についてです。

 

「遺族年金」障害年金同様、国民年金から支給される「遺族基礎年金」をベースに考えます。自営業者は「遺族基礎年金」のみが、会社員や公務員の方は「遺族基礎年金」に加えて「遺族厚生年金」が受け取れます。

 

受け取るための条件は?

 

<遺族基礎年金>
国民年金の被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たしたものが死亡したとき

・死亡した者の基礎年金の保険料納付済期間が加入期間の2/3以上あること、または過去1年間に保険料の滞納がないこと

 

<遺族厚生年金>
・厚生年金の加入者(被保険者)が死亡したとき(ただし死亡した者の保険料の納付済期間が加入期間の2/3以上あること、過去1年間に保険料の滞納がないこと)

・被保険者であったときの傷病により、初診日から5年以内に死亡したとき

障害厚生年金(1級・2級)の受給権者が死亡したとき

・老齢厚生年金の受給資格期間(25年以上)を満たした者が死亡したとき

 

ややこしいですね、正直読むだけでイヤになります(笑)

上記の条件は遺族の受給のために、加入者がどれだけ国民年金ないしは厚生年金を納付したか、という観点です。

 

しかし上記の納付期間をクリアしても、遺族の方がすべて受け取れるわけではありません。受け取る側の遺族の要件もあります。

 

<遺族基礎年金>

・子のある年収850万円未満の配偶者

・子

 

<遺族厚生年金>

被保険者の死亡当時、生計を維持されていた次の人がいたときに、優先順位の高い人のみが受給できる。

・第1順位:配偶者(夫の場合は55歳以上)、子

・第2順位:父母(55歳以上)

・第3順位:孫

・第4順位:祖父母(55歳以上)

 

はたまたややこしいですね。ここで抑えておくべきは、遺族基礎年金は「子」をメインとして考える点です。すなわちあなたに子供がいなければ、あなたの配偶者は1円ももらえません。子供がいて初めて配偶者は遺族基礎年金を受給でき、両親を亡くした子供も受給できます。ここでいう「子」とは18歳到達年度の3月末日までが要件のため、言い換えれば高校3年生の3月末日までの子です。ということは、遺族基礎年金は子供が高校を卒業するまでしか受け取れないということです。

 

次に遺族厚生年金です。

と、その前に障害年金の受給要件を思い出しましょう。障害等級3級は障害基礎年金は受給できませんが、障害厚生年金は受給できました。すなわち国民年金と厚生年金では要件が違い、国民年金で受給できなくとも、厚生年金で受給できるケースがあるということ。

 

遺族年金も同様です。

 

遺族厚生年金は「子」をメインと考えません。仮に子供がいない夫婦だけの場合でも、第1順位として配偶者は受給できます。そして配偶者も子供もいなければ、第2順位で父母がもらえ、父母もいなければ、第3・第4順位と広がります。ただし"生計を維持されていた"という条件が付くため、要注意です。

 

遺族年金の受給額も参考にお伝えします。

(標準報酬月額30万円。平成27年(2015年)当時のデータ)

 

<遺族基礎年金>

配偶者のみ:月額0円

配偶者+子1人:月額8万3716円

配偶者+子2人:月額10万2425円

配偶者+子3人:月額10万8658円

 

<遺族基礎年金+遺族厚生年金>

 配偶者のみ:月額3万831円

配偶者+子1人:月額11万4547円
配偶者+子2人:月額13万3256円
配偶者+子3人:月額13万9489円

 

参照元

lify.jp

 

いかがでしょうか?

 

私は前回の記事同様、本タイトル「公的年金の盲点」で申し上げたいことは、公的年金は老齢年金だけではないですよ!という一言に尽きます。あなたが亡くなった後も、遺族の方は生活するわけで、その遺族の方への保険も毎月の年金保険料にも含まれます。その観点をご存じないか、失念されて、国民年金を未納される方が多いように思います。

 

会社員や公務員の方は"その時"が来たら必然的に手続きが生じ、あとは受給するだけとして、あまり考えなくていいとお考えになるかもしれません。しかしそうでもないのです。なぜなら保険や貯金を考えるうえでの「必要保障額」の算出基準となるからです。

 

どういうことか?

 

例えば死亡保険を例に考えます。死亡保険に加入される方は多くいらっしゃいますが、死亡保険金額をいくらにするかで毎月支払う保険料は変わります。ではその保険金額はどのようにして決めるのか?

 

それが遺族年金を受給できた場合を前提に考えます。すなわち、遺族年金を受給できたとして、それでも足りない額を民間の死亡保険でカバーする位置づけです。この遺族年金で足りない額を「必要保障額」と呼び、必要保障額を保険金額に設定します。保険に加入しない方は、預貯金や投資で「必要保障額」をカバーする形です。

 

障害年金も同様です。

 

障害年金を受給できた場合を前提に考えます。最近は所得補償保険や就労不能保険といった保険も販売されますが、実はどれも障害等級1級か2級に該当したときを支払条件とします。ということは、障害年金だけで足りない部分(必要保障額)を所得補償や就労不能保険で補おうというスタンスのため、やはり障害年金を受給できるかどうかは大事な物差しとなるのです。

 

もし自営業者が国民年金の保険料をまったく支払っていなければ、障害時も死亡時も、障害基礎年金や遺族基礎年金で受給できる分まで、保険や預貯金、投資でカバーしなくてはなりません。しかも若くして不幸が襲った場合は、若いほど必要保障額は多くなります。おわかりになりますか? 80歳をゴールとしたら、40歳で障害を負えば、残り40年間の生活費が必要になります。30歳なら残り50年間です。

 

このように考えると、日本における「国民皆保険制度」というのは、まったくもってあなどれませんし、必要不可欠のように思いますが、あなたはいかがお感じになりますか?

 

公的年金の盲点2」

それは「遺族年金」です。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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