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全力で「仕事」に逃げる⁉

Yahoo!アカデミア学長の伊藤洋一さん著「やりたいことなんて、なくていい」という本があります。発売日は2019年12月。プレゼンで有名な伊藤さんですが、この本はキャリアアップやキャリア形成に悩む読者に、タイトル通りに"やりたいことなんて、なくていい」と喝を入れる内容です。

 

伊藤さんは本の中で、社会人になったばかりの20代のころを「仕事恐怖症」だったと述懐します。そのピークが26歳、ついにだましだましやり過ごしたうつ症状が表面化し、家から一歩も外に出られなくなったとのこと。

 

そんなとき、伊藤さんを救ってくれたのが、他でもない「仕事」でした。伊藤さんはそれを "全力で仕事に逃げろ!" と言われます。

 

伊藤さんは転職をしたわけでも、副業を開始したわけでもありません。メンタル不調をもたらした勤務先の会社員のまま、ただ当時と同じ仕事をそのまましただけです。

 

ただその時の取引先(A社)の経理部長が伊藤さんを信頼してくれ、「あなたしかいないんだ」という一言に伊藤さんの心は潤いを取り戻します。たったそれで、伊藤さんは "自分を必要としてくれる" "自分はまんざらでもない" という心の回復の糸口を見い出しました。

 

そこから伊藤さんはなんとしてもその経理部長の期待に応えたい一心で、仕事にのめり込みます。上司にも掛け合い、周りからの支援も受けることができ、見事に結果を出すに至りました。

 

そのときの伊藤さんの心情です。

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忘れられないのは、無事に案件が成立してA社の社長と飲みに行ったときのこと。2人で泣きながら抱き合って「よかった、よかった」と喜び合ったのです。このとき、生まれてはじめて私は、「仕事って悪いものじゃないな」「仕事って怖いものじゃないんだな」と思えたのです。

 

就職して、職場にも仕事にもなじめず、ついにメンタル不調になってしまった私は、仕事自体が怖かった。会議室に入って、人と顔を合わせて、商売のやり取りをする。それ自体がもう、怖くて怖くて仕方がなかった。

 

「取って食われるんじゃなかろうか」というような心持ちで仕事をしていました。けれども、実際の仕事はそうではなかった。仕事をする相手は、みんな普通の人間です。一生懸命にやれば相手も応えてくれるし、助けてくれる。だから仕事は怖くない。心からそう思えたのです。

 

別に、この案件を通じて、急に仕事ができるようになったわけではありません。しかし、必要以上に怖がっていた仕事が怖くなくなりました。「自分も仕事をしていいんだ」と思えるようになったのです。

 

さらに言えば、「仕事を通じて、自分と社会はつながっているんだ」と実感できました。その意味で、私にとってターニングポイントとなる出来事でしたし、文字通り私は仕事に助けられたのだと思います。

(同書より抜粋)

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少し前にタレントの杉原杏璃さんを紹介しましたが、杉原さんもメンタル不調のときに新しい補正下着の会社を立ち上げることで、メンタルを回復させた経緯をもちます。今回の伊藤さんと似たような状態と言えます。

 

伊藤さんと杉原さんに共通することは、もやもやした迷いを捨て、一心不乱に仕事に打ち込んだことです。自分のメンタルの不調を忘れるくらいに打ち込んだということ。

 

昭和の哲人と称され実践哲学者で天風会創始者中村天風氏に次の言葉があります。

「病を治す秘訣は、病を考えないことだ。病を忘れよ。それが秘訣だ」

 

天風氏は、当時に不治の病とされた肺結核を患い、放浪とさまよいましたが、ある師匠との出会いで積極的精神を学び、それをもとに完治させた体験をもちます。

 

メンタルの病も、一般的に病とされる病気も、すべては自然治癒力の活用如何で回復度合いがまったく変わります。いかに自然治癒力を促すか・・・その答えが「忘れること」ということです。

 

伊藤さんはただ「仕事に逃げよ」とは言っていません。「全力で仕事に逃げよ」と「全力」という文字を使います。その理由は、中途半端であればまた もやもやした原因探しを始めてしまうからです。また「全力」だから結果が出やすくなり、結果、キャリア形成を築けることにつながるからです。そこのところがわかる箇所も抜粋します。

 

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逃げるなら、全力で行きましょう。合格点ギリギリの80%でこなすのではなく、120%の成果を目指すのです。

 

そうすれば、仕事に逃げているうちに「経験知というボール」がどんどん貯まり、canであなたの中の箱は溢れて、ある日突然「これだ!」という域にまで達します。そうすれば、その先に、やりたいことが見つかるかもしれません。

 

少なくとも、中途半端に現実から目を背けているよりずっとマシなはずです。

(同書より抜粋)

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もう一か所見てみます。

 

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足元の仕事に120%の力を注ぐことで、メンタル不調から脱出することができました。「目の前の仕事を徹底的にやる」ことの威力に気づいた私は、その後もこの姿勢を大切にし続けてきました。

 

そして結果的に、新しいことにもチャレンジし、当初とはまったく違う道を歩んでいるの自分がいます。

 

これは単なる私だけのエピソードに過ぎない、と思われるかもしれません。しかし、私はこの考え方が、今キャリアに悩んでいる多くの読者にも役立つ「再現性」が高いものではないか、と感じています。

 

なぜなら、足元の仕事に全力で注いだ結果、その人自身も思っていなかったようなキャリアを切り開いた実例を、他の場所でも多く見てきたからです。

(同書より抜粋)

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聞く人にとっては暑苦しい話に聞こえるかもしれません。"よくある話ではないか" と思われるかもしれません。

 

しかし伊藤さんの話の斬新な点は、メンタル不調を払拭すべく、同じ仕事を気を入れなおして(迷いを払拭し)人の期待に応えるために全精力を注いだことにあります。

 

すなわち「自分を振り捨て、人のために、会社のために全神経を傾けた」、結果、「メンタル不調など省みる必要がなくなった」、イコール、「忘れていた」ということ。

 

問題なのは、どうしたら120%の力を注げるか? 

 

私は「結果を気にしない」ことだと思います。以前に元サッカー日本代表でキャプテンを務めた長谷部誠選手のブログでこんな禅語が載っていました。

 

「随所作主 立処皆真」

(ずいしょにしゅとなれば りっしょみなしんなり)

 

意味は「どこに居ようとも自分自身を見失わなければ、いつどこでもそこに真理が存在する」です。

 

長谷部選手が当時所属していたドイツのヴォルフスブルク時代に、監督から干され、まったく試合に出させてもらえなかったときに、ある先輩から送られた言葉だそうです。

 

結果にとらわれるから、人に好かれようと立ち振る舞うから、自分を見失うのです。試合に出られなくても、結果が出なくても、今いる場所で一所懸命に打ち込む その主体性こそが真理で逆に結果は二の次である、それが私の考えるところで、答えです。

 

伊藤さんは全力で仕事に逃げましたが、何も仕事でなくても、自分のやりたいことがほかにあるなら、遊びでも趣味でもいいと思います。ただ人の役に立って、社会の役に立って真のモチベーションは湧くと考えられるため、仕事以外の没頭は一時のものと考えた方がいいでしょう。

 

●キャリア形成に悩む人。

●もやもやしてやりたいことが見つからない人。

●メンタル不調で苦しむ人。

 

「病を治す秘訣は、病を考えないことだ。病を忘れよ。それが秘訣だ」

by 中村天風

 

忘れることと = "なにか"に「全力」を注ぐこと。

その"なにか"に「仕事」があってもいい。

 

「全力」を可能とする言葉。

「随所作主 立処皆真」
(ずいしょにしゅとなれば りっしょみなしんなり)

 

結果は二の次。評価は二の次。

主体性な取り組み、主体性の発揮に真理が宿る。

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。