心の戦士!~心が前向きになる言葉~

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悠々として急げ

前回は「完全燃焼こそ満開の花を咲かせられる」という主旨の話をしました。しかし"完全燃焼”は精神的な許容度を100%にすることではなく、80%ほどに留める注意点も添えました。その20%の精神的余裕が"悠々”という言葉で表せられます。

 

本日はどうしたら行動面を"完全燃焼”させて、精神面は悠々としていられるのか?、それをお届けします。前回と同じく藤尾秀昭著「十万人が愛した言葉(2019年7月発売)」に載っていた言葉です。

 

「末路晩年、君子宜しく精神百倍すべし」

by 洪自誠(中国明代の学者)

 

洪自誠(こう・じせい)は処世訓の名著「菜根譚」を著した人物と言われています。その人物が「物事の終わり、また人生の晩年に、君子たる者は精神を百倍にして立ち向かえ」と鼓舞されています。

 

物事の終わりというのは、9時~17時の会社員で言えば、17時までの時間配分を最適化し、午前中でへとへとになるような配分を避けることを意味します。また17時~23時までのオフの時間を含めるなら、オフの時間も有意義に使えるだけの精神的・体力的余力を充溢(じゅういつ)させることも意味できます。

 

私が上掲の言葉で感銘を受けたのは、晩年の(そのままの)意味の方です。人生の晩年を65歳以降とすると、「65歳以降こそ本領発揮のしどころで、決して隠居すべき時期(年齢)ではない」という点です。

 

確かに人生100年時代です。しかし気力も体力も衰えた晩年は「終わりよければすべてよし」に反します。せっかく65歳以前に楽しい思い出がたくさんあっても、65歳以降が冴(さ)えなければ、その楽しい思い出も色褪せてしまうかもしれません。それは非常に残念です。

 

数十年前では60代からの起業は考えられませんでしたが、この数年でそういう人たちが増えているという話も耳にします。そういう人たちこそ「末路晩年、君子宜しく精神百倍すべし」を地で行った人なのかもしれません。起業がすべてではありませんが、ボランティアでも自営の継続でも旅行でも中身はなんでもかまいません。生きがい・やりがいをテーマに、精神・体力ともにそれに充てられることが「幸福」の一つになることは間違いないと思います。

 

晩年を65歳以降とすると、65歳で精魂尽きてしまうような歩み方は今の時代、けっして賢明なペースとは言えません。遅咲きや大器晩成という言葉がありますが、65歳以降に花を咲かせるべく、一歩一歩積み上げるスタイルも今日の充実を担保してくれるように思います。ビジネスモデルもツールも世のニーズも、数十年後にはどうなっているかわからず、それらをキャッチできる資本は間違いなく「前向きな精神と体力」です。

 

本業があるにもかかわらず、副業で成果を上げることに捉われ、睡眠時間を削ったりお金をかけすぎたりし、どちらも立ちいかなくなるという結末は、人生の幸福がどこにあるかを見失ったことを原因とします。

 

人生の幸福は精神科医 樺沢紫苑先生の言葉を借りればセロトニン的幸福」「オキシトシン的幸福」「ドーパミン的幸福」の3種類です。仕事の成果は3つ目の「ドーパミン的幸福」に当たり、樺沢先生曰く、「セロトニン的幸福」と「オキシトシン的幸福」があれば、「ドーパミン的幸福」は特になくてもいいと言われます。

 

「悠々として急げ」という言葉の"悠々"は「セロトニン的幸福」と「オキシトシン的幸福」を大切にする精神から生まれるのだと思います。「セロトニン的幸福」は自然との調和や心身の健康から、「オキシトシン的幸福」はペットや人間関係の充実からもたらされます。

 

常にバランスを鑑み、時期尚早を避けることも一つの知恵と含みたいものです。そういえばホストクラブ「愛本店」など 平成時代に数々のメディアに取り上げられ、歌舞伎町の象徴ともなった愛田武さんは生前にこう言われたそうです。

 

「焦ってはいけません。私は急ぐ人間が成功したのを見たことがない」

 

これは僧侶で作家の向谷匡史さんの『リーダーとは「言葉」である』という著書に載っていた言葉です。"ホストでナンバーワンになったなら、経営でもきっとうまくいく"、そう思った人たちが時期尚早の結末を迎えたのだと推測します。

 

今日という一日を疎かにしないために、精神的なゆとりを担保しつつの完遂が完全燃焼(急ぐこと)、精神的なゆとりは、ひとつ、時間軸を長くもったときに訪れます。

 

「末路晩年、君子宜しく精神百倍すべし」

by 洪自誠(中国明代の学者)

 

令和時代に突入し、ますます生き急ぐ時代は遠のきます。勝負する時期を"今"に捉われてはいけません。悠々として急げば、時代が勝手にどこかに合わせてくれます。私もそう願って会社員と副業(投資)を一歩一歩進めています。一歩一歩の中には確実に幸福が眠っており、それが「セロトニン的幸福」「オキシトシン的幸福」です。職場の人間関係だけでも、挨拶ひとつで何かが変わります。

 

くれぐれも「ドーパミン的幸福(達成感や勝利からもたらされる優越感など)」にとらわれず、自然との調和や心身の健康、人間関係の素晴らしさに目を向け、「幸福」の本質を見失わないように気をつけたいものです。

 

「悠々として急げ」

by 開高健(小説家)

 

「末路晩年、君子宜しく精神百倍すべし」

by 洪自誠(中国明代の学者)

 

「焦ってはいけません。私は急ぐ人間が成功したのを見たことがない」

by 愛田武(愛田観光株式会社元社長)

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。