他者の力「外圧効果」
私は先日「目標勾配仮設とタスク管理」の記事で、自分の意志は弱いため、あえて締め切り間近に先延ばしすることの効用をお伝えしました。
本日はそれと関連することで行動経済学者のダン・アリエリーが行った実験を紹介します。この実験内容メンタリストDaiGoさんの著書「先延ばしする人は早死にする! 」に掲載されていたもので、そこから話を引用します。
実験は被験者の学生たちを3つのグループに分けて行われました。3つのグループにはレポートの提出を指示したのですが、指示の仕方が違いました。
① 締め切りを決めない
② 自分で締め切りを決めた
③ 他者から締め切りを強制される
①は締め切りを決めずに、本人任せで提出してもらう形、②は自分で締め切りを決める形、③は他者に締め切りを強制される形。
さて一番締め切りを守ったグループはどこだったでしょうか?
答えは③のグループです。その次が②、その次が①です。興味深いのは②より③のほうが締め切り効果が高かったことです。②のように自分で締め切りを決めても、それを守るか守らないかは自分と状況しだいになってしまうということだと思います。
この実験には追加があります。
前述の内容に「締め切りに少しでも遅れたらレポートを絶対に受け取らない」を付け加えました。すると先の順番が変わりました。
締め切りを守った順番が③→②→①から、③→①→②と替わったのです。どういうことでしょう?
そもそも②は自分で締め切りを設定します。その設定を守れなければ、厳しいバツが待っている(ここではレポートを受け取ってもらえない)となれば、逆にあきらめも助長してしまうということです。"締め切りに間に合わせるのはちょっと難しいかも"と思えば、途端に気持ちが逆のベクトルに向いてしまうのだと思います。しかし他者から強制された締め切りなら、少しばかり無理でも他者との関係性から踏ん張る気持ちが生まれるのだと推測します。
この追加実験でわかったことは、自分で締め切りを決めるなら、あまり厳しく設定しない方がいいということ、また、厳しい締め切りを自分に課したいのなら、その締め切りは他者に決めてもらう方がいいということです。
私が休日にアルバイトをしているのも、実はこの効果を利用してのことです。数年前の私は休日前の夜はダラダラしてしまい、夜更かしが常態化していました。それまでも何度と自分に規律を敷きましたが、見事に打ち破り、他者に強制してもらう以外に方法はないと判断し、それでアルバイトを始めました。
前回の記事で「自らお尻に火が付いた状態にもっていくことが集中力を生むコツ」と申しましたが、ダン・アリエリーの実験結果から、自分に弱いのは少なくとも私だけでないことはおわかりいただけると思います。
自分で何かしらの決意を守りたいなら、うまく他者の力を借りることが無理のない自己規律を可能とする得策です。目標を他者に宣言したり、あえて人に約束を敷く人は、おそらくこの効果を狙ってのことだと思います。
ジャンルによっても自己規律が働かせられたり、そうでなかったりがあります。ついては、自分が弱いと思うところで、その改善に何かしらの決意をもたれたのなら、ぜひ他者の力を借り、外圧をもって自分を律していただくことが自然な形で克服や成就に向かわせられます。
ダン・アリエリーの締め切り効果の実験から話が飛躍しましたが、他者との関係性から発せられる外圧効果は、締め切り(効果)にとどまらず、あらゆる取り組みに適用できる魔法の杖とも言えます。いい意味で前向きに「外圧効果」を味方につけていただければと思います。
他者の力「外圧効果」
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