心の戦士!~心が前向きになる言葉~

どんなときでも心を晴れやかに!→ 心の戦士いざ参上!

「タイミング」と時機

先日紹介したヒロミ・藤田晋さん著「小休止のすすめ」に「自分のタイミングで勝負しない」という項があります。この内容は藤田さんの著書「仕事が麻雀で麻雀が仕事」にも載っていたと記憶します。

 

いっけん当たり前のように見える内容ですが、昭和の時代に比べ、昨今は(私も含め)人に合わせる感覚が薄らいでる気がして、そのような傾向がある人には特に重要と思い、紹介します。

 

麻雀の分野で有名で、著書も難十冊と出される桜井章一さんの言葉からその項は始まります。

 

桜井さんは現役時代に裏プロの世界で20年間無敗という金字塔を打ち立てたことで名をとどろかせ、現在は麻雀を通して人材育成(人間教育)をする雀鬼会を運営されます。

 

その桜井さんが現役時代も、現在も、実体験から次のことを言われます。

 

「麻雀というのは、洗面器いっぱいに張り詰めた水に、4人で顔を突っ込んで、最初に顔を上げたやつが負ける」

 

すなわち自分でタイミングが選べないのです。メンバーが同じでも違っても、その都度タイミングが変わるということ。この教えを踏まえ藤田さんは経営においてもまったく同じだと諭します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

自分のタイミングで勝負して、時機がつかめることはありません。同じく経営でも我慢が大事です。

(中略)

サイバーエージェントは2000年に東証マザーズに上場してから3年ほどの間、赤字でした。2004年に黒字に転換するまでの間は、一番耐えた時期かもしれません。その間、新たな事業の仕掛けをいろいろと準備していたわけですが、今日投資したものがすぐに成果を出すわけではありません。同時期に同業の経営者たちが華々しく活躍するのを見ながら、投資家からは批判され、焦りから自分のタイミングで勝負を仕掛けそうになったこともありました。

 

しかしその気持ちを抑え、粛々と社内制度を整え、人材育成に力を入れ、言わば会社の基盤固めに力を入れていったのです。その間、揺らぐ自分の気持ちを保つためにも、先述した通り、仕事から目をそらすための遊びも始めました。

(同書から抜粋)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ご自身の実体験から出る言葉には説得力を感じます。せっかく準備をしたのに、実行のタイミングを誤っただけで、結果が出るものが出ないとなれば、本当に口惜しい気持ちでいっぱいになります。

 

藤田さんの言葉を続けます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大きな決断をするとき、覚悟を決めて踏み出していると思われがちです。しかし、実感は異なります。「成り行き」という言葉で表現するのはおかしいかもしれませんが、山場、浮上のタイミングは向こうからやってくるように感じています。

 

風向きが変わり、環境が整う。そんな外的要因について変な自分の願望が入っていると時機を見誤ることになります。

(中略)

ただし、こうした変化は自分たちで狙って起こせるものではありません。成り行きと着実な準備が組み合わさって、勝負のタイミングがやってくるのです。決断した時点で勝つ可能性が高いと思ったなら、後はがんばって仕事をする。収穫のときを迎えるまで粘り強く顔を上げないことです。

(同書より抜粋)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私はこの話を聞いて、以前勤めていた同僚がこんなことを言っていたのを思い出しました。

 

「時計の針は1日に2度会う」

 

時計の短針と長針で、例えば短針を12時に据えた場合、長針は1日に2度 12時を通ります。この1日を「一生」に置き替え、自分のスタイルを変えなければ、一生に2回は「自分のスタイル」と時代が合致する、そんな意味だったと記憶します。

 

話しはそれましたが、藤田さんの言う「時機がくるまで忍耐強く」は、その他の分野でも通用しそうです。先日紹介した投資家ウォーレン・バフェット氏も50代に入るまで忍耐強く待ちましたし、同じく投資家のジム・ロジャース氏も「何もしない」ことの重要さを強調されます。

 

私たちの日常生活ではどうでしょうか?

 

意味合いは異なりますが、自分以外の他者が絡むとき、往々にして自分のタイミングで事(こと)を運べません。例えば大事な用事が、仕事や先約と重なる場合。断る人も多いと思いますが、なんとかやりくりして、可能な範囲でやりくりする人もいます。

 

ここで私が申し上げたいことは、藤田さんの言われる「忍耐と時機」とは異なりますが、自分以外の関係性のなかで自分の人生の決定要因が決まることがあるなら、自分のタイミングだけを重視するのは人生をしぼませることにつながるのではないか?ということです。

 

社交や出会い、学びの場では、先方が予定を組むことが大半です。その都度、自分のルーティーンを乱すとか、帰宅時間が遅くなるとか、やっぱり面倒くさいとか、さまざまな理由で断っていたら「時間は有限」という観点で、機会損失をしてきたかもしれません。

 

自分以外の他者や環境との関係性が自分の人生の質を決めるなら、自分以外のタイミングに自分が合わせることも、ときに大事なのではないでしょうか。

 

私事ですが、私は地方出身で、年に何回か泊まりに来る地元の友人がいます。正直次の日が早いときなどは面倒に感じることがないといえばウソになります。しかし毎度地元の新鮮な話や他愛のない話で心が休まるため、見送ったときには泊まらせて良かったと思いますし、泊まってくれてよかったと思います。

 

また本業の保険の仕事では、現在も現役で電話営業をしますが、アポはお客様都合ですし、終業時間間際に受電を受け、1時間も残業で話し続けることがあります。しかしお客様のタイミングに合わせるからこそ、生まれる満足や契約があるのだと理解し、甘受するにいたります。

 

投資においてリスクの中にリターンがあるように、ちょっとした面倒や労力(デメリット)の中にメリットがあると考え、多少のデメリットを覚悟でいろいろなことにチャレンジすることがメリットの享受の基本姿勢に思います。

 

最後に「余念なき準備」です。

 

いくら時機が来るまで忍耐しても、それまでしかるべき準備をしなければ「結果」をつくるに至りません。また人や環境のタイミングに合わせる「自分」も、日頃からルーティーンに磨きをかけることや、余裕を持ったスケジューリングがあってこそ、逸脱(自分のタイミング外)を許容できます。

 

 

人や環境のタイミングばかりでは疲弊します。自分のタイミングだけでは成就し得ない時機があります。

 

「自分のタイミングが8割、自分以外のタイミングが2割」

 

8割が2割を支える考えで、それくらいのバランスが一番歩きやすいように思います。しっかりと8割に根を生やし、2割の勝負は下りないことです。またしっかりと8割に根を生やせば、逆に2割をおおらかに受け入れられ、喜びに変わるかもしれません。

 

「麻雀というのは、洗面器いっぱいに張り詰めた水に、4人で顔を突っ込んで、最初に顔を上げたやつが負ける」

by 桜井章一

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

 本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

f:id:leonet0702:20200707005935j:plain