「姿勢」とストレス耐性
"姿勢を正せば、心もシャキッとする" とか、"胸を張って歩けば、気分も前向きになる" など、あなたもこれまでに1つや2つ、誰かに言われたことはないでしょうか?
そうです。私たちは姿勢と心、姿勢と気分がそれなりに連動することを体験的にわかっていたのです。だから方々でそのような言い方がされていたのだと思います。
さて本日は、心や気分と似た感情で「痛み・ストレス耐性」について「姿勢」との因果関係を紹介します。
米国・南カリフォルニア大学(USC) Marshall School of BusinessのScott Wiltermuth博士らがJournal of Experimental Social Psychology オンライン版に発表した研究です。
人は胸を張って背筋を伸ばした姿勢でいる方が、猫背(ねこぜ)の前かがみなど 悪い姿勢をとっているよりも、「痛み」や「ストレスに耐える力」が強いことがわかりました。
それでは実験内容を見てみましょう。
<1つ目の実験>
1と2と3のそれぞれの姿勢で、痛みに耐える力に変化があるかを調べました。
1.顎(あご)を上げ胸を張って周囲を見下ろすかのような自信満々の姿勢
2.普通のまっすぐな視線の姿勢
3.猫背(ねこぜ)でうつ向いてがっかりしたような姿勢
その結果、1の姿勢の時が最も痛みに対するストレス耐性が高く、痛みを感じづらくなっていることがわかりました。
<2つ目の実験>
2人が1組のペアになります。一方の姿勢が、もう1人の仲間の痛みの感じ方に、影響を与えるかを調べました。結果、仲間が1の胸を張った姿勢のときのほうが、3の猫背の姿勢の時よりも、痛みに耐えるストレス耐性が高まることがわかりました。
この両者の実験結果から博士らは、次のように総括します。
「苦しい時や痛い時には姿勢も縮こまってしまいがちですが、こういう時ほど顎(あご)を上げ、胸を張った堂々とした姿勢をとったほうが、感覚的にも感情的にも、痛みに耐えられるようになり、事態がその人にとって、また仲間にとっても、よりストレスフルに感じられなくなります」
いかがでしょうか。
なんとなく体験的にわかっていたことでも、このように実験結果で明らかにしてくれれば、よりいっそう意識的に取り組めるようになると思います。気分や心はもちろん、痛みやストレスがかかったときにも「まずは姿勢から」と意識し、堂々としたポーズが弱気な感情を一蹴させ、前向きな心を宿わせてくれることと思います。
私たちは意外なところで、いつなんどき、痛みやストレスに襲われるかわかりません。ですから普段から「姿勢」に着目した日常を送ることが、"いざ" というときの対処につながると思います。歩くとき、椅子に座るとき、職場、自宅、レストラン・・とさまざまなシチュエーションに「姿勢」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考記事