「お金持ち」はデフレが好き⁉
2003年2月に発売された"ある本"により、一躍有名になった方がいらっしゃいます。
森永卓郎著「年収300万円時代を生き抜く経済学 」
当時は経済アナリストとしてお茶の間で小泉政権や郵政民営化を批判されてましたが、現在は経済アナリストに加え、獨協大学経済学部教授の肩書も付いています。もちろん、今でも庶民派の代表として、あらゆる媒体で活躍されています。
私は当時「年収300万円時代を生き抜く経済学」を読み、今でも記憶に残っていることがあります。それが「お金持ちはデフレが好き」です。
同書が発売になった2003年までの10年、15年は「失われた10年」と言われ、ずっとデフレが続いていました。しかしその間もデフレの脱却の兆しはいくつかありました。しかし毎度に腰砕け。なぜか? 森永さんは"意図的に仕組んだものではないか?"と勘繰ります。
すなわち森永さんの考えは、「自民党とお金持ちが結託してデフレを意図的に仕組んでいる」と見立てたわけです。それから18年が経ちました。あいかわらずデフレです。
森永さんの言う、腰砕けとは、私の記憶が正しければ、「消費増税」によるものです。1989年に消費税の3%が導入され、1997年に「3%から5%」、2014年に「5%から8%」と上がりました。そのたびに消費が落ち込み、デフレの脱却が遠のきました。そして記憶に新しい2019年に「8%から10%」です。
もちろん財務省の企てが中心ですが、以前の記事で申し上げたように、法人税の引き下げや投資からの利益(運用益)、配当所得などで、大企業やお金持ちは多大な好影響を受けています。
法人税は比例税率と言われ、一律約20%強です。投資からの利益や配当所得は一律20%(復興特別所得税を除く)です。例えばソフトバンクの孫社長は、2019年4月~2020年3月の役員報酬で2億円、配当所得で193億円と言われます。なぜそんな比率なのか? 役員報酬(給与所得)は累進課税、配当所得は一律20%だからです。
賢いお金持ちは、累進課税で所得を得ません。必ず投資益や配当益で得るようにします。しかし会社員や勤め人の給与所得は累進課税です。圧倒的多数の勤め人から所得税を吸い取っているのが現状です。
話しを戻します。
自民党に多大な政治献金をしているのは誰か? 経団連を始めとした大企業です。選挙に行くのは誰か? 高齢者やお金持ちです。
構図としては、政府が財務省に抗えないのは、財務省と仲良くしている大企業から多大な献金を受けているからです。財務省は常に天下り先の確保に勤めるため、大企業にいろいろ恩を売り、その見返りが天下り先となります。
「政治とカネ」とよく言われますが、この構図は何十年経っても変わりません。ところでなぜお金持ちはデフレが好きなのでしょうか?
無論、お金の価値が高いからです。インフレは逆にお金の価値が低くなります。例えば不動産を購入するのに、お金持ちは現金で購入できます。しかしそうでない人は現金で購入できません。現金で購入できなければ銀行から融資を受けなければいけませんが、デフレ下は融資を受けにくく、受けられたとしても金利が高くなります。すると買い控える人も増えます。需給バランスとしては需要が落ちます。すると不動産価格は下がります。下がったタイミングでお金持ちは現金にモノを言わせて一括購入します。
選挙に行くのは若者に比べ、圧倒的に中年以上の高齢者です。高齢者は預貯金の保有量が多いです。また年金暮らしも預貯金から切り崩したりします。すなわち預貯金頼みで生活しているのが大半の高齢者で、そんな高齢者を(インフレにして)敵に回せばどうなるか? 選挙で負けます。高齢者は貴重な票田(ひょうでん)なのです。(インフレになれば預貯金の価値は相対的に低くなります)
政府は何をもってしても選挙で勝たねばなりません。それはイコール票田者の都合を利かせることに他なりません。票田者(お金持ちや大企業、高齢者)がデフレが好きなら、デフレに操作するのは当然です。森永さんのお考えは、私の記憶が間違ってなければそういうことでした。
「年収300万円時代を生き抜く経済学 」が発売されて18年が経ちますが、今も構図は何も変わりません。おそらく今後も数年はこの構図は変わらず、つまりはデフレは続くのでしょう。
しかし少しずつですが、暗号通貨の認知度もシェアも広がってきています。ユーチューバーを始め、インターネットビジネスで個人が稼げる門戸も広がっています。つい数日前には、米電気自動車(EV)大手のテスラが決済手段にビットコインを受け付けるというニュースがありました。
中央集権国家(政治とカネ)の牙城を崩すには、インターネットの普及がそうだったように、民間の力で変えていくしかありません。ネット選挙しかり、ブロックチェーンしかり、シェアリングエコノミーしかりです。そういった観点で、私は暗号通貨の普及に期待をし、民間主導の評価経済社会に期待します。
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本日は最後までお読みいただきありがとうございました。