「入浴熱中症」に要注意!
あまり若い人は気にすることはないかもしれませんが、高齢者の入浴事故が毎年2万人と多発しています。「ヒートショック」という言葉はお聞きになったことがあると思います。入浴前に比べ、入浴中に血圧が急上昇し、一気に心臓に負担がかかることを言います。それが行き過ぎれば心筋梗塞や脳梗塞で死を招きます。
しかし最近の研究でわかったことです。これまでに「ヒートショック」と判断されたものの大半は、実は「ヒートショック」ではなく「入浴熱中症」によるものという見方です。もちろん断定まではいきませんが、「入浴熱中症」という見解が各研究機関で有力視されているのは事実です。
私の両親は二人とも70代ですので、気になって下の記事を読ませていただきました。内容はとてもわかりやすく、と同時に、高齢者はもちろん、若者にも気をつけていただきたいと、重大視しました。私の職場に"ある50代の女性" がいます。その女性は50代のご主人を2年前に入浴事故で亡くされました。死因はヒートショックによる脳梗塞。"主人は持病も不調もなく、いたって健康だった" 女性はそう振り返っています。私は下の記事を読み、そのご主人の死因は「入浴熱中症」だったのではないかと思いました。
では「入浴熱中症」とは何なのか?
42度くらい(42度以上)の湯船に10分も浸かると、人体の体温は1度上昇すると言われます。体温が上がれば、普通は汗をかいて体温を外に逃がそうとします。しかし、湯船に浸かっていればそれができません。すると放熱ができないわけなので体内に熱い血液が滞留し、心臓に負担がかかります。それと同時に、脳へ流れるはずの血液が減少するため、意識障害が生じます。意識障害が進めば気を失って倒れます。
夏場に熱中症で倒れる人が急増し、いつもニュースになることはあなたもご存じと思います。ではそれら熱中症になる人は、持病に心臓や血管の疾患を患っている人ばかりでしょうか? 答えはノーです。つまりは、健康な人でも熱中症にかかるということで、それが入浴中に行われることが「入浴熱中症」です。
しかしニュースになる熱中症やヒートショックの対象者は圧倒的に高齢者が多いです。なぜでしょうか?
若者であれば体の表面に熱い血液を集めて、熱を外に逃がすことができるからです。それに比べ高齢者は血液を循環させる力が弱く、体内に熱い血液が滞留し、心臓に負担がかかります。これが年齢によって熱中症の罹患率が変わる原因です。そしてもちろん入浴中にもそれは当てはまります。
ではどうすれば「入浴熱中症」を防げるか?
東京都市大学教授で医学博士の早坂信哉さんは次の3点をアドバイスされます。
・41度以下の湯船に10分以内が目安
・湯船に10分を浸かるより、5分を出入(ではい)りする
・入浴前にしっかり水分補給する
一般的に言われる熱中症対策は水分補給と塩分補給です。入浴熱中症も「熱中症」と付くだけに、原因と対策はまったく同じです。とにかく湯船に10分以上を浸からず、熱をこまめに外に逃がすことが肝要で、それが"5分を出入(ではい)りする"という意味です。
湯船から出て、体を洗ったり、歯を磨いたり、呼吸を整えたりする形。ちなみに42度の湯船に10分を浸かれば体温が1度上昇すると申しましたが、体温が1度上昇すると、熱中症の初期症状として倦怠感や頭痛を覚える人が出てきます。高齢者になれば、この状態でもう体に力が入らずに、湯船から出られなくなる人も出てきます。
慶應義塾大学の伊加賀俊治教授らの研究によれば、26分を浸かれば体温は40度まで上昇し、気付いたら意識を失い、死に至ることも珍しくないといいます。
「入浴熱中症」
対策は「入浴は41度以下・10分以内」
高齢者はもちろん、中年や若者も、命の危険がなくても、入浴熱中症のメカニズムは等しく訪れます。ついては、水分補給に塩分補給、温度調整に入浴時間を気をつけ、心臓や脳に悪影響を与えないようにしてまいりましょう。
最後に"入浴"そのものはどの医師も否定はしていません。特に現在のような冬場にあたっては、適切な入浴で体を芯から温め血流をよくすることは逆に健康のために勧められるべき賜物です。
体だけでなく、心まで温められる入浴タイムを(人体に)悪影響なものにしないためにも、「入浴は41度以下・10分以内」を目安に心がけたいものです。
あなたはいかがお感じになりますか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考記事