目的地より「旅程」

米国の言葉に「大切なのは目的地ではない、旅程だ」というのがあります。旅じたいの大切さを謳う言葉は多くあれど、この言葉は価値を目的地より旅程を上位に置いているという点が少し違います。

雀鬼会の会長をつとめる桜井章一さんは、多くの著書でプロセスの大切さを書かれています。雀鬼会というのは麻雀を通して人間味を育てる、まさにプロセスの大切さを育てるコミュニティのこと。私は属していませんが、櫻井さんの著書はおそらくすべて読んでいます。しかし巷では麻雀でもビジネスでも勝敗にこだわる大切さを訴える内容の方が目立つと思います。

なぜ目的地よりも旅程の方が大切なのか？

それは旅程が「時間＝命」だからです。私の地元は名古屋ですが、東京から名古屋に行くのに新幹線で約2時間、その2時間をただ自由席に座れず連結部分で体操座りをして過ごすのか、それともグリーン車で悠々と景色を楽しむのかの違いということです。もちろん読書や音楽を楽しむでもなんでもいいのです、大事なことはどちらも名古屋に着けているということ。しかし両者はまったくプロセスを異にします。

新幹線でなくても深夜バスでも昼行バスでもかまいません。出世するのもお金持ちになるのもそうです、一定の時間がかかる以上、その時間の過ごし方がそのまま命の使い道になることは自明の理。しかしこれを忘れてしまうのもまた人間です。

自分を見失うな！とか本質を見失うな！などよく言われますが、競争社会に埋もれると、本当に大事なことを見失ってしまいます。ただ冒頭の言葉は目的地を大事でないと言っているわけではありません。目的地も大事だが、それ以上に旅程の方が大事と言っているだけです。

旅程を汚さなければたどり着けない目的地なら、それは辿り着けなくてもいいというのが私の考えです。人を裏切ってまで達成したい世界とはどんな世界でしょか？　人に迷惑をかけてまでやりたいこととは何でしょうか？

目的地を設定したなら、さらに本腰を入れて「旅程」を楽しむことを懸命に考えたいもの、それが人生を充実したものにすると思います。人生を充実したものにするとは、思い出深い時間を過ごすということ。思い出深い時間とは、楽しい嬉しい方向に感情をより揺り動かした時間のこと。

目的地より「旅程」

「大切なのは目的地ではない、旅程だ」

あなたはいかがお感じになりますか？

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。