「待つ」ことの意義
前回の記事「自分の生活環境に落とす」で、著名な投資家・ジム・ロジャース氏のあるお言葉を紹介しました。
『「待つことができる」のは重要な才能の一つ』
つきましては、本日は改めて「待つ」ことを考察します。
まず結論から。私の結論はこうです。
「待つことも動くこともすべてではない。時(とき)に応じての判断が重要である」
ジム・ロジャース氏が言う「待つ」には、その手前に "待つべきときに" という前置きが付きます。すなわち「待つべきときに待てない人は愚かである」。逆もまた真で「動くべきときに動かない人は愚かである」ということ。だから「時(とき)に応じた判断が重要」なのです。
しかしこんな当たり前のことをわざわざ強調しなくても・・と思われると思います。しかしなぜ強調するのか? それは私たちは往々にして"待つ"ことを軽視するからです。"待つ”ことで何か空虚感を覚えてしまうのでしょうか!?
投資詐欺に引っかかる人の多くは「情(じょう)」に負けると言います。例えば"目の前で一生懸命語る営業パーソンに申し訳ない"とか、期間限定と言われれば"この機会を逃したくない。急がないと締め切られてしまう"といった具合です。
詐欺師の特徴はもうおわかりですね。そうです、いずれも相手(お客)に「待ち」を与えないこと。待たせて冷静さをもたらしてはいけないのです。待たせて情報収集をさせてはいけないのです。
ではロジャース氏の言葉を(下記リンク先の)記事より見てみましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
実は「待てる」ことも、投資家に必要な資質の一つである。投資家に必要なのは、ほとんどの場合「何もしない」ことなのだ。いままで何度もそうやって多くの人にアドバイスをしてきた。
ある場所に商機が見えたら、それは正しい判断である。あとは買うだけだ。でも逆に言えば、確実に商機が見出せるまでは、何もしてはいけない。
たいていの人は、常に動き回っていなければいけないと思い込んでいる。常に株価を気にして、何か行動を起こさなくてはいけないと忙しくしている。でも、それは間違いだ。
(同記事より抜粋)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロジャース氏も、過去に何度と待てずに失敗を繰り返したと言います。そんな過去の失敗から来ているお言葉です。
ではいつまで待てばいいのか?
それは「商機(勝機)が見えるまで」。それまでは徹底的にリサーチをすべしと言われます。ということは、動くタイミングも「商機(勝機)が見えたとき」ということで、逆にそのときは迅速に動かなければいけません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ただ、何かに商機を見出したら、行動も伴わなければならない。行動というのは、入念なリサーチをして株を見つけ、買うことを指す。多くの人は、後から負け惜しみを言うのが得意だ。
「あの会社が成功することは、10年前からわかっていたよ」とか、「あの時100円で株を買っていれば、今頃20万円にはなっていただろうなぁ」とか。口で言うのは簡単だ。
でも「成功することはわかっていた」と言ってもいいのは、実際に100円で株を買い、20万円に殖やした人だけである。行動を起こさなければ、何の意味もない。
(同記事より抜粋)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロジャース氏は投資家ゆえにリサーチと言われますが、私たちは(おそらく)投資家ではないため「情報収集」という方が身近かもしれません。先の投資詐欺の話で言えば、持ち帰って「情報収集」をすれば判断は"見送り"になったかもしれませんし、そもそも急がせたり慌てさせる正当な事由を聞かなければなりません。その答えに納得がいかなければ"見送り"でしょう。
「待つことの重要性」
それは一時(いっとき)の「情」に流されず、大事な虎の子の「お金」、大事な虎の子の「時間」を守ることにあります。「お金持ち」は「待って現金を手元に残す」という意味かもしれません。手元に残したお金を有望な投資先に投資し、リターンを得られれば「大金持ち(おおかねもち)」と言うのかもしれません。
お金にしても時間にしても、自分にとって"使うべきところでない"ところで使えば、"使うべきところ"で使えなくなるか、使えたとしても、リターンの減少につながります。そのように考えれば「待つ」ことはリターンの拡大に欠かせない代物(しろもの)と言えます。
機が熟したと見たら "待ってました!" と内心に喜べるように、「待つ」ことが苦手な人ほど「待つ」ことの積極性、前向きさ、賢明さを覚えられてはいかがでしょうか?
繰り返しますが、「待つ」ことは常に「動く」ことを目的とします。ただ鈍重になることを勧めるわけではありません。そして動き回ることを情報収集と判断されたなら、それは意図する行為ゆえ、ある種「待つ」ことと同義と考えます。
「待つことも動くこともすべてではない。時(とき)に応じての判断が重要である」
確保できた「時間」で徹底的に「情報収集」をし、判断を可能とするのです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考記事