心の戦士!~心が前向きになる言葉~

どんなときでも心を晴れやかに!→ 心の戦士いざ参上!

幸田露伴「逆順入仙」

世の中の自然法則に人間は逆らえません。例えば重力。物を放って下に行かせない、なんて芸当ができれば、それはマジシャンだけです。それもまやかしです。つまり自然法則は科学的にも証明されるもので、大小の違いはあれどその影響を受けない"現象"はありません。

 

しかしそれを遅らせることは可能と表題の幸田露伴氏(小説家)は言います。その言葉が「逆順入仙」です。

 

どういう意味か? 

 

「順に逆らって仙人なる」という意味で、歳をとっても努力や心がけ、習慣の力で「順」に逆らう(または抗う)ことは可能ということです。具体的には放っておけば人は「生・病・老・死」もしくは「生・老・病・死」と進みますが、「病」を回避し「老化」を緩やかにすることは可能ということ。

 

本記事でも渡部昇一さん著「思いを実現させる確実な方法」を取り上げてお伝えします。渡部さんはこの幸田露伴氏の「逆順入仙」を地で行った体験者で、その体験談を著書で述べられます。下記に抜粋しましょう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

歳を取ってくると普通は記憶力が低下しますが、私はあるときから歳とともに記憶力を上げる努力をはじめました。毎日毎日、ラテン語の文章を暗記することで頭を訓練しようとしたのです。

 

4,5年はかかったでしょうか。気がついたら昔、記憶力がいいはずの中学や高校のときにいくら読んでも覚えられなった漢文の律詩をいま読むと、とくに勉強しているわけではないのに、ちゃんと覚えることができます。さらには書くこともできるのです。

 

あるいは若い頃ドイツに留学していたときに、ドイツの国歌は一番もろくに歌えなかったのですが、いまは10分か15分、ちょっと注意力を集中すると3番までちゃんと覚えられます。

 

(中略)

 

時間に逆らうことができるのは、記憶力だけではありません。体力にもあてはめることができます。アメリカでは65歳以上のレスリングクラブがあって、歳をとってから鍛え始めてもたいへんに強くなるといいます。ボディビルを70歳から始めるなんて、今までの常識からいえば信じられない話です。ところが人間には精神があるので、それを巧みに使うことによって「逆順入仙」の境地に至ることができるのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

とても勇気のもらえる話です。生きるのが楽しくなります。ますます挑戦したくなります。ここまで書いて私は毎週水曜日に放送されるクイズ番組「東大王」を思い出しました。その「東大王」にレギュラー出演している人に山下真司さんがいます。

 

「東大王」には4,5種類のクイズが用意されるのですが、毎週必ず出題されるのに「難問オセロ」があります。「難問オセロ」は漢字の"読み"を競いつつ、オセロも競うという2重の勝負が視聴者を飽きさせず人気を呼んでいます。

 

その「難問オセロ」で山下さんは漢字の"読み"で東大生と同等かそれ以上の力を発揮します。山下さんは現在68歳。山下さんは「東大王」に出演してから漢字を猛勉強し、漢検1級レベルの難読漢字を幅広く読んで見せます。その姿にアナウンサーは「中高年の星」と連呼し、視聴者に60代からでも勉強が身につく勇気を奨励します。

 

話しを戻しましょう。この幸田露伴氏の「逆順入仙」は自然の法則や摂理に逆らうことを勧めるのではなく、人間の可能性を見誤らない教えを説きます。それを綴った渡部さんの言葉を最後に紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

全体的にいえば人間の体も宇宙の一部ですから、やはり自然の流れにあったように生きたり、過ごしたりすることが賢明といえます。例えば朝早く起きると体は自然や太陽のリズムに合っているのでとても楽です。それに加えて「逆順」の努力をすれば、さらに時間の内容を豊かにすることができるのではないかと思います。

 

(中略)

 

若いときには、自分の体力・若さに頼ることがあります。しかし中年以降、それだけに頼るのは極めて動物的なことです。体力に頼らないで精神で工夫することが人間として大切になります。それが成熟した人間です。そして、それによって人間は時の流れの早さを変えることもできるのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「始めるのに遅すぎることはない」という言葉がありますが、その裏付けに幸田露伴氏の「逆順入仙」を据えれば、腹落ちした態度で(そのことに)臨めるのではないでしょうか。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

引用・参考文献

f:id:leonet0702:20200321002222j:plain