コロナ収束後の「自分」
「アフターコロナに備える!自粛生活で生まれた時間の活用法」という記事があります。著者はビジネス書を何冊も出されている午堂登紀雄さんです。
記事を読むと、内容は以下の2点に集約されます。
・今やれることをやる
・セーフティーネットは利用し尽くす
とても当たり前に聞こえるかもしれません。上記2点で、セーフティーネットの利用はこんな事態ですから、遠慮は不要です。問題が前者です。「今やれることをやる」
この「今やれることをやる」というのは、まず気持ちの切り替えが必要です。人によってはたいへんな苦痛を味わっています。それは重々承知します。しかし事態や現実は変わりません。逆に事態や現実を呑み込み、自粛や休業、在宅ワークというありきたりな言葉では片づけず、今しかできないことを見つけ出し、それができる「チャンス」と転換するのです。
今後は在宅ワークが普及することに備え、パソコンスキルを磨くのか、それとも自宅でできる筋トレやトレーニングを始めるのか、それとも語学学習か、はたまた漫画や映画、ゲームや音楽か・・・
記事ではこの自粛期間を投資ととらえ、コロナ収束後に人に差をつけられないよう、自分磨きに励むことを奨励されます。午堂さんは言われます。
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ゴールデンウイークが明けて登校・出勤したときに、「こんなに差がついているの!?」と愕然としないよう、うまく時間を使う必要があります。なぜなら、「やる人はやる」のですから。自宅待機の今、他人の努力量は目に見えないから、自分はそこそこやっていると思っても、実は同級生や同僚はもっと努力しているかもしれません。試合が始まってから、練習不足を嘆くことにならないようにしたいものです。
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同じコロナ禍でも、先に申しあげた たいへんな状況の人から暇を持て余す人までさまざまです。一様に励む中身は語れません。
しかしここで申し上げたいのは、人生や人間において、能力開発や自己啓発だけが素晴らしいわけではありません。芸術や遊びは人間の横幅、人生の豊かさをつくります。そして実はそれらが能力開発や自己啓発に役立つこと、具体的には仕事のアイディア等につながることもあります。
大事なことは自粛期間中を振り返ったときの、コロナ収束後の自分を微笑ましくすることです。仮にあなたが何かに挑戦したとして、しかし難しいうえ、うまくいかず結局遅々とした自粛期間だったとしても、コロナが起きなかった場合にそれはできたことでしょうか? 今回のコロナがあったからこそ、挑戦でき、かつ難しいことがわかったのではないでしょうか?
ということで、私が本記事でお伝えしたいこと、それは「納得ある出発点」です。漫画を読もうが映画を観ようが、アプリを検索しようが、結果はともなわないかもしれません。しかし「出発点」に納得を覚えてさえいれば、着手できたことが喜びになります。コロナが起きなければ「選択」がもっと先だったか、なかったものが、今選択ができるわけです。であるならば、限られた時間に何を選択するか、その選択に納得を覚えてほしい、ということです。
私は「納得ある出発点」と言いましたが、あの松下幸之助翁は「誤りなき出発点」として、著書「道をひらく」に記されました。こんなときこそ読んでいただきたい内容のため、下記に紹介します。項のタイトルは「定めなき日々に」です。
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定めなき日々に
人の世は定めなきものとは言いながら、どうにも昨今の世の中は、まことに定めなく日々にゆれ動く。ゆれ動くのも一つの進歩の姿ではあるけれど、定めなくゆれ動くのは、あてどもなくさまようにひとしい。だからこそ、人は不安におちいる。これからどうなるのか。先々どうなってゆくのか。老いた人はわが老いゆく先に不安をおぼえ、若い人は定めきれぬ明日への道に焦燥を感じる。一家団らんのなかにも、育ちゆくこどもたちの行く末に、希望と不安が入りまじる。
人それぞれに、人それぞれの思いをこめて、あれこれと案じはするけれど、しょせんは案じきれない人の世である。この世の中である。先は先にまかせよう。ともかくも大事なことは、わが足もと、今日ただ今の出発点に誤りなきかを、自他ともに素直に反省することである。その反省が刻々につみ重ねられ、今日ただ今の出発点が刻々に正されてゆくならば、一歩一歩の安心の道が必ずひらけてくる。先の先を案ずるよりも、まず今日のただ今の素直な反省が求められるのである。
(松下幸之助著「道をひらく」より抜粋)
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さすが、経営の神様と称された方のお言葉。平易な言葉にも重厚さがにじみ出ます。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考記事
引用・参考文献