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「奇跡」について

前回の「運について」につづき、「奇跡」についてお届けします。といいましても、私はあまり「奇跡」に興味はなく、「奇跡」の存在有無も問う者です。そこのところは前回の「運」と同様の考えです。しかし人生にロマンは必要です。一瞬でも光り輝く "神の思し召しか!" と思うほどの体験は味わいたいもの。そこで本日は事実かどうかはさておき、私がこれまで読んだ書籍で "本当か!?" と驚嘆した内容をお伝えします。書籍は次です。

 

五日市剛著「ツキを呼ぶ魔法の言葉」(2007年1月発売)

 

10年以上前に流行した本です。あなたもご存じかもしれません。この本に「幸せをもたらす黒い箱」という項が出てきます。その箇所が摩訶不思議な現象を語るエピソードです。

 

まず著者の五日市さんですが、掘削機械の製造会社経営と、工学博士として数社の研究指導に携わられています。本書は当時26歳だった五日市さんが、イスラエルを旅行中に起こった出来事が実話として綴られます。

 

簡単に掻い摘むと、旅行中はトラブル続きで、財布を無くしたり、詐欺に遭ったりと踏んだり蹴ったりな日々。ある日、70歳ほどの婦人が厚意で宿を提供してくれます。そして、彼女は「あなたが幸せになりたいのなら」と、以下のことを教えます。


●嫌なことがあったら、すぐ自分に「ありがとう」と言うこと。すぐに言えば不幸は続かないし、逆に良いことが起こる。
●嬉しいこと、楽しいことがあったら「感謝します」。すると、またそう言いたくなるような出来事が起こる。

 

このような「ありがとう」「感謝します」の2つの言葉を口癖のように心を込めて唱えることで、本当にそのような感情を抱ける現実が訪れるという教え、それが本書の結論です。

 

この本は実話で綴られた内容ということもあり、当時はたいへんブームになり、たくさんの読者が感動の渦に巻き込まれました。2000年以前から、銀座まるかん創業者 斎藤一人さんらがこの手の「口癖(ありがとう等)で運が左右する」という話はブームにされていましたが、リアルな実話というのは斬新でした。それがヒットの原因と私は分析します。

 

さて、本書に綴られる「奇跡」とも呼べる内容に入ります。まずはその箇所をすべて抜粋しますので、やや長丁場になりますが どうかお付き合いください。

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次の日、おばあさんの息子夫婦が訪ねてきました。おばあさんは「私はこれから彼らと旅行に出かけるけれども、五日市さんは是非もう一泊していってください。これは記念にあげるわね」と、二つの箱を僕に差し出しました。

 

「いや、そんな、おばあさんにこんなにお世話になりながら、贈り物までもらうわけにはいきませんよ」僕は日本流の遠慮のつもりで、そのように答えました。すると、おばあさんは急に真剣な顔になって「ああそうですか。だったら買ってください」と言うのです。いつもニコニコ顔の人が急に真剣な表情になるのですから、さすがにドキッとしました。小さな声で「お、おいくらですか」と尋ねると「いくらでもいいわ」。日本円でいうと十円でも百円でもいいというニュアンスの返事でした。その時の僕の所持金は三万円か四万円ほどです。


まだまだニ、三週間の日程が残っています。いま思うと不思議な気がするのですが、少ない手持ちの中から一万円相当のお金を出して買ったのです。普通なら「そんな馬鹿な使い方するな」と言われるところでしようが、おばあさんの反応は違いました。「やっぱりね。あなたってお金の使い方を知っているのね」とポツリと言ったのです。この言葉はいまも心の中に残っています。


もらったのは、一つが大きく、もう一つは小さく細長い箱でした。大きいほうは白の、小さいほうは黒の包装紙でくるまれていました。

 

「五日市さん、約束して。あなたの誕生日が来たら開けてね・最初の誕生日に一つ目、次の誕生日に二つ目の箱を開けるのよ。どちらが先でもいいわ」


「どうしてですか。なぜそんなことを言うのですか」


「開けたら分かるわよ」


「分かりました。約束します。ありがとうございます」


こういう会話を交わして、おばあさんとは別れました。日本に帰った後、僕はもらった箱を棚の上に置いて誕生日を待ちました。


ニ十七歳の誕生日を迎えた日、さてどちらを開けようかと考え、とりあえず大きな白い箱を開けてみることにしました。軽い箱でした。ドキドキしながら蓋を取ると、なんと空っぽではありませんか。「そりゃあ、ないよ」と思いました。「開けたら分かるわよ」と言われても、これでは分かるはずがありません。



それから半年ほど経った頃のことです。ある夜、おばあさんが夢の中に現れました。どういう夢かは忘れましたが、ニコニコした笑顔が浮かんできました。急に眠れなくなって、ふと、もう一つの箱のことが気になり始めました。誕生日はまだ半年先です。しかしどうしても箱の中身が知りたくなりました。僕は一人暮らしですから誰も見ているはずがありませんが、人目を気にするかのような心境でした。夜中に起きてべッドを降り、本棚のある部屋に行きました。そして本棚に手を伸ばしました。が、不思議なことにその本棚に黒い箱がないのです。下に落ちたのかと思って見ても、どこにもありません。あれっ変だな?と朝までかかって他の部屋もくまなく探しましたが、結局見つかりませんでした。


腑に落ちない話です。翌日、思い切っておばあさんに電話をしてみました。通信状態が悪く、何回かかけてようやく通じました。電話口に出たのはおばあさんの息子でした。そこで初めておばあさんが三か月前に亡くなっていたことを知ったのです。


僕は箱の話を切り出しました。「ご存じかもしれませんが、おばあさんから箱を二ついただきましてね。誕生日に開けてねと言われたので白い箱のほうを開けたのです。そうしたらカラでした。もう一つの…」そう言いかけた途端、息子はドスのきいた声で言いました。

 

「あんた、誕生日が来る前に開けようとしただろう」

 

僕は返す言葉がありませんでした。それだけではなく、すべてを見抜かれていたようで足がガクガクと震えるのです。お互いに無言の状態が少し続いた後、一呼吸おいて白々しいとは思いつつも、「何が入っていたと思いますか」と尋ねてみました。


彼は言いました。「きっと、おふくろが一番大事にしていたものじゃないかな」


おばあさんが大事にしていたものと聞いて僕はピンときました。趣味がペン集めであることをおばあさんの口から聞いていたからです。旅先で買ったものや友達からもらったものを、楽しそうに見せてくれました。


息子は続いて「五日市さん、箱は絶対に出てきますよ。恐らくあなたの誕生日に」、そして「それはあなたに幸福をもたらすものでしょう」という気になる二つのことを付け加えました。


その頃、僕には付き合い始めた女性がいました。僕の二十八歳の誕生日、彼女からプレゼントが届きました。その箱を見た時の驚きはいまだに忘れられません。見た感じといい重さといい、おばあさんからもらった黒い箱と同じではありませんか。その感覚は僕にしか分かりません。彼女が百貨店で買ったものですから、物理的に同じはずはありません。しかし、いずれにしても僕の誕生日にあの箱が出てきたのです。


開けてみると中身はペンで、僕のプロポーズを承諾する彼女のメッセージが添えられていました。さらに不思議なことに、このペンをよく見るといくつもの小さな傷があり、半透明のプラスチックチューブの中のインクの量が半分に減っていました。百貨店のギフトショップで中古が売られているはずはありません。しかしそれは明らかに誰かが使った形跡がありました。彼女にも店の人にも聞いてみましたが、「そういうことはありえない」という返事。考えれば考えるほど不思議ですが、「おばあさんが大事にしていたもの」「あなたに幸福をもたらすもの」が僕の誕生日に届くという言葉は確かに現実となったのです。

(同書より抜粋)

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いかがでしょうか。

 

この内容が事実なら人生(この世)は捨てたものではありません。何が起こるかわからないことへの生きる勇気につながります。"「運」や「奇跡」は確率論" と、自分の行動に昇華する私の考えも、この話が本当なら確率を超えた"神の思し召し"の領域も認めざるを得ません。

 

しかし私が知らないだけで、おそらくまれにその領域はあるのでしょう。そして"ある"と信じて「生きる勇気」とすることが人間にとってときに大切なことです。

 

ドラマティックとかロマンティックという言葉も、現実とかけ離れたイメージをもちますが、現実などときにどうでもよく、イメージだけで感情が豊かになれることが重要なのです。ですから辛いときやめげそうなとき、意気消沈したときは、五日市さんのこの体験のようなことが自分にも起こることを胸に、明日へ生きる勇気と胸を焦がしてほしいのです。

 

基本は能動的で主体的、確率論で生きる姿勢は変わりませんが、確率を超えた摩訶不思議な現象(奇跡)はこの世に現存することは信じてもいいのです。信じることで信じた分だけこの世が興味深くなるからです。そしてこの五日市さんのお話を知ってから、確かに私は生きる勇気をもらい、その都度「奇跡」への期待感で感情を復帰でき、豊かにできています。それが行動につながっています。

 

期待のし過ぎは禁物ですが、ときにこの世を彩るうえでは、「奇跡」は信じるに値し、それは同時に「生きる勇気」となるのです。

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。