「ジェームズ・ディーン効果」
イリノイ大学のエド・ディナーは「ジェン」という名前の女性が、交通事故で亡くなるシナリオを作り、115名の大学生に読んでもらうという実験を行いました。シナリオは次の2つです。
- たくさんの友人がいて、仕事もプライベートも充実している時期に交通事故で亡くなる。
- たくさんの友人がいて、仕事もプライベートも充実している時期を過ぎて、さらに5年ほどごく普通の人生を歩んでいるときに、交通事故で亡くなる。
どちらのシナリオが望ましいかを尋ねたところ、後者より前者の方が多かったのこと。ディナーはこの現象を「ジェームズ・ディーン効果」と名付けました。
私も以前の記事で、別れ際は「余韻」が大切と話したことがあります。「余韻」というのは、楽しい時間のピークに別れを告げることをいいます。例えば飲み会でちょうど盛り上がっているときに、お開きをするといった具合です。ふつうは、話題がなくなってきたときや、単純に時間が遅くなったことを理由に切り上げると思いますが、あえてピーク時を狙うことの得策を申し上げました。
なぜ得策なのかというと、ピーク時に切り上げると、楽しい時間の余韻がその後もずっと残るからです。ちょっとしたテクニックですが、こういった(小手先の)テクニックの集積が人生の充実度を決めると私は思っています。今回の「ジェームズ・ディーン効果」は何が言いたいかというと、人生は長さではなく「充実度」が勝負ということです。
「充実度」を考えるときに大事になってくるのが、種まきの姿勢です。定年退職から打ち込むことがない人は、それまでの種まきを疎かにしたことが原因です。仕事に邁進することは大切ですが、種まきも同様に大切です。しかし今の時代、定年退職後も仕事に打ち込む人が増えていますから、そのような観点でいえば、退職後の仕事への種まきもまんざらではありません。現役でいうと副業がそれにあたると思いますが、副業も稼げなければ意味がないと捉えると、本質を見誤り、種まきを失うように思います。
例えば芸人「ますだおかだ」の岡田圭右さんは、オリックスが優勝する前からオリックスファンを熱烈に語っていました。オリックスが優勝するかどうかがファンの本質ではなく、優勝に関係なく好きかどうかが本質です。それを貫いたために、先月の優勝からあらゆるメディアで、悲願の達成物語を語れています。
日曜大工でもボランティアでも、「好きだけど稼げないもの」こそ、逆に充実するということもあります。お金に換算すると、やりたくないことも余儀なくされることがありますが、換算しなければ好きなように時間を使えます。
「ジェームズ・ディーン効果」は「充実」に焦点を当てます。人間関係でも、多さではなく、深さです。友達が少なくても少ない中で充実すればよし、多くても浅ければイマイチです。
当ブログも健康情報を多数に発信していますが、私自身は、自分なりに健康に気遣うことそのものに楽しさを見出しています。結果は神のみぞ知るです。プロセスを楽しむ姿勢が、自然に継続を可能とし、継続がときに成功や幸福と合致するときがある、そのようなおおらかな姿勢が「充実」をもたらしてくれると思います。
「ジェームズ・ディーン効果」
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