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「一灯照隅」

1898年(明治31年)から1983年(昭和58年)までの生涯におき、陽明学者・哲学者、そして思想家として日本に多大なる影響を与えた人物に安岡正篤さんがいらっしゃいます。当時の首相から一国民まで、あまねく人々に人間学を提唱され、現代でも彼を私淑する人は多数いらっしゃいます。SBIグループ社長 北尾 吉孝さんはその一人として有名です。

 さて、陽明学者の安岡正篤さんの箴言「一灯照隅」があります。読み方は"いっとうしょうぐう"です。意味は「一人一人が一灯を献じて自分の周囲を明るくし、万人が万灯を点ずれば、国を明るくすることができる。そのような生き方が素晴らしい」です。

 

私は安岡さんが書かれた書物で知りましたが、実はそれよりはるか以前に比叡山延暦寺を開いた伝教大師最澄が言った言葉とされています。最長の言葉は「一燈照隅・萬燈照国」(いっとうしょうぐう・ばんとうしょうこく)」です。

 

この「一灯照隅」は、言葉で言うのは簡単ですが、体現は相当に準備と覚悟がいります。なぜなら自分を照らせて心に余裕ができ、その余裕で人を照らすことができると解釈するからです。ということは、何をすれば自分を照らせるかがわかっていなければならず、わかっていても実践できなくてはいけません。

 

家族間でも職場でも、友人関係でもその他でも、いいことばかりが起こるわけではありません。人の真価は嫌なときに現れます。嫌なときに自分の世界観があれば、自分の世界観で一服を図れれば、トラブルに発展することは避けられます。この自分の世界観こそ「一灯照隅」と言えなくはないでしょうか。

 

世界観は自分の夢や理想、はたまた習慣化と言い換えてもいいかもしれません。理不尽な現実に直面したときこそ "ま、いいか" と受け流せるだけの世界観「一灯照隅」を足らしめているように思います。

 

人に何かを言われるたびに、自分の灯が消えてしまっては、あまりにも心許ないです。理不尽な現実に負けない自分だけの"なにか"を守り育てることが「一灯照隅」を可能なものとします。一例を申し上げます。

 

先日、コツコツブック製作委員会編「今日から始めるコツコツのコツ(2020年7月発売)」という本を読みました。アスリートやスポーツ選手を始めとする有名な方が数人、製作委員のインタビューに答える形で話がまとまっていて、登場者の一人にスキージャンパー 葛西紀明さんがいらっしゃいました。

 

葛西さんは言わずと知れた冬季オリンピック8大会連続出場を果たし、2014年のソチ五輪で悲願の銀メダルを獲得された、スキージャンパー並びにオリンピック選手のレジェンドです。

 

葛西さんは8大会連続でオリンピックに出場されましたが、6回目まではまるで魔物に取り付かれたように結果が出せずに終わってしまったと述懐されます。それでもあきらめずに続けられた理由、それが「走ってきた」ことです。

 

スキージャンパーらしからぬ話ですが、葛西さんは幼少から運動神経が抜群で、何をやらせてもほぼレギュラー級の腕前だったと言われます。そんな中、9歳で初ジャンプを経験したことからその道を志したわけですが、そのバックグランドにはいつも「走ること」が備わっていました。

 

なぜ「走ること」?

 

葛西さんの両親は陸上選手になってもらいたいと思っていたらしく、父親の二言目が「走ってこい」でした。しかし葛西さんはジャンプの道を究めたかった。そこでなんとか厳格な父親に認めてもらわなければならず、「走ること」はその半ば交換条件のような形になりました。しかし晴れて父親に認めてもらったあとも、「走ること」は実は全身の筋肉をしなやかにしてくれることに気づき、ジャンプにも生かすようになったとのこと。

 

ときに「走ること」を辛く感じたこともあったと思います。しかし小学生から30年以上も走り続けていることの自己信頼が、メダル獲得を諦めない精神をつくってくれたと本人も振り返っています。

 

葛西さんにとっての「走ること」は、自分に一灯を照らすだけの「行為」であり、その連続が自分を自分足らしめる世界観をつくったのだと私は感じます。そのおこぼれではないですが、メダル獲得という形で、私を含めたくさんの国民を照らしてくれました。今もなお48歳にして現役で、その姿勢に励まされている人も多くいらっしゃることでしょう。

 

なにも人から称賛されないと人を照らせないという大仰なことではなく、自分の人生(一日)を満足させる人が、一人一人つくられることが「一燈照隅」の神髄ですから、自己犠牲からの利他に逃げることなく、自分を満足させることに一生懸命になってもいいのではないか、ということです。

 

「8:2」

 

私の勝手な感覚ですが、自分を優先的に考えることを8割、周囲の人に気遣うことを2割のバランスが、自己満足を最大化できるような気がします。なぜなら利他行も自分の喜びのためが本質だからです。おすそ分けがいい例で、みんなで楽しめば喜びも数倍です。

 

そのおすそ分けのための自己優先が8割で、その自己優先(8割)が心の余裕(2割)をつくってくれるという図式です。

 

「一灯照隅」

 

・どんな理不尽も受け流せる一灯(自分だけの世界観)

・どんな称賛にも天狗にならない一灯(自分だけの世界観)

 

まずは自分という一番身近な存在を照らせずして、周りを照らせるはずがありません。自分から目を反らさず、自分を照らすことを最優先に考えることが大切です。葛西さんは「走ること」で自分を照らし、照らし続けました。実は私もそれに習い、週2・3で筋トレとランニングを続けています。身体的な体力が脳の体力にもつながってると思い、私はこの習慣をどこまでも続けていきたいと思っています。

 

「一灯照隅」

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。