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「生きる力」1

2018年6月に出版された本に次があります。

 

松岡修造著「弱さをさらけだす勇気」

 

この本の一項に「本気で生きろと教えてくれた少女」があります。そこには著者の松岡さんが試練を乗り越えたときの、ある少女とのエピソードが綴られています。とても切なく、それでいて生きる力をもらえる内容のため、あなたにも本記事で紹介します。

 

まず著者の松岡さんは誰もがご存じ、元プロテニス選手です。松岡さんは現役時代に3度の試練を経験したそうで、その1度目の試練が次。

 

それは松岡さんがプロテニスプレーヤーになって3年目の1998年。はじめて世界ランキングトップ100位内に入り "さぁこれからだ" というときに、両膝を痛めてしまいました。

 

テニスプレーヤーにとって膝は命。悩んだ末、ツアーから一時的に離れ、翌年にスイスイで手術を受けます。手術は無事成功。しかしその後の調子が思わしくありません。膝の痛みが取れず、夏にツアーに復帰したもののすべて1回戦負け。

 

意を決してその年に再度手術を受けます。こちらも幸いに手術は成功。あとはリハビリをこなし、なんとか もとの膝に戻ることを祈ります。しかし現実は現実。1年近くもツアーで1勝も上げることができなかったため、ランキングは445位にまで転落。この落差は当時の松岡さんにとって相当にショックで悔しい思いが拭えません。

 

ゆえに落ち着いてリハビリに励まなければいけないところを、焦りの気持ちが邪魔をします。焦れば焦るほどストレスは募る一方。

 

そんなとき、入院患者の一人である、ある少女が松岡さんのファンだという知らせを聞きます。気分転換もかね、松岡さんはその少女の病室を訪ねます。そこに待っていたのは10代半ばの少女。

 

帽子をかぶったその少女はニコニコと松岡さんを迎えます。そして憧れの松岡選手と会話です。楽しい時間もつかの間、別れ際に松岡さんはサインをしたテニスボールを少女に渡します。喜んだ少女は松岡さんにこう言います。

 

「私の分まで頑張ってください」

 

松岡さんは返します。

 

「ありがとう。君の分も頑張る。君も頑張ってね!」

 

後日、松岡さんは再度その少女の病室を訪ねます。しかしそこに少女の姿はありません。理由を先生に尋ねると、彼女はもうこの世にはいないとの応えが・・。なんと、彼女は松岡さんと会ったとき、すでにそのときは余命2週間の状態でした。

 

松岡さんは愕然とします。彼女が亡くなったことそのものもそうですが、それよりも、彼女に軽率に「君も頑張ってね!」と言ってしまったことにです。彼女が帽子をかぶっていたのは、彼女の病気が白血病だったからです。(投薬による副作用で髪が抜け落ちたからです)

 

松岡さんはこのことをこう述懐されます。

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この体験が、「本気で生きろ」と僕に気づかせてくれたのです。

 

「あの子は生きたくても生きられなかった。でも、自分はこうして生きている。だったら、本気で生きてみろよ!」

 

それまで「なぜ、自分だけがこんなひどい目に遭うんだ」としか思えなかった僕は、「どうすれば、このひざとうまく付き合って勝てるようになるか」と、より前向きな方向でものごをと考えるようになっていきました。

 

そのきっかけをつくってくれた少女の笑顔が、いまでも忘れられません。あの子と出会わなかったら自分はどうなっていただろう、と思うことがあります。

(同書より抜粋)

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 最近は自分の好きなことをとことん追い求めよ!という風潮が飛び交っています。私もその風潮に異論はありませんが、本当に、本気で自分の好きなことに取り組むきっかは、他人がもたらしてくれかもしれません。また特定の誰か(他人)を想うことで、それが発動することもあります。

 

人は自分のことばかり考えても、実はエネルギーやモチベーションは生まれにくいことはよく言われます。人によって個人差はありますが、私はどちらかと言えば、松岡さんのように、 誰かの"生"を背負うことで、自分の"生"に転化させ、より自分の"生"を燃焼させようと奮い立つ性質です。

 

自分の好きなことに邁進するにも、いいことばかりが待っているわけではありません。嫌なこともストレスも、誰にでも起こることです。そんなときに、生きたくても生きられなかった人のことを思うことは、想像以上に「生きる力」をもらえます。

 

自分の「生きる力」は、ドラゴンボール元気玉ではありませんが、生きたくても生きられなかった人たちの命を宿せます。宿せば宿すほど、エネルギーに、モチベーションに、勇気になります。

 

「特定の人を想うこと」

その無限大のパワーを松岡さんのエピソードをお読みし、改めて実感したしだいです。

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

 次回も同じテーマでお届けします。

 本日も最後までお読みいただきありがとうございました。