「鈍刀を研ぐ」
私は先日、次の記事を上げました。
そこで私は心療内科医の海原純子さんがお勧めする「足の裏を意識する」(という方法)を紹介しました。足の裏は地に足を付けています。その状態を確認することで、人前での緊張が緩和されるのでは?という話です。私はこれにとても賛同し、日頃から「地に足をつける」訓練としても大事なことであると思いました。
さて本日は「鈍刀を研ぐ」についてです。上掲の記事で海原さんは、詩人であった坂村真民さんのある詩を紹介されています。それが「鈍刀を研ぐ」です。坂村さんはどういう意図でそれを作られたのでしょうか?
「切れない刀を磨いても無駄だと人は言うけれど、それでも一生懸命磨くのだ、刀は光らないかもしれない、しかし磨く本人が変わってくる、刀が磨く本人を光るものにしてくれるのだ、だからせっせと磨くのだ──。」
坂村さんはそう言われたそうです。引用した海原さんはこう言われます。
「苦手なことをしていると、うまくはいかないんですけれど、何かが変わってくるんです。少しずつでも以前より、今の自分が進歩したかもしれないと思えることは、生きている喜びになるかもしれません。それを楽しみに、苦手なことこそ、どっぷり浸かってみるのもいいかな、と思います。」
人前での話やスピーチを苦手だと思っている人へのエールです。受験の世界でも得意科目を伸ばすより苦手科目を"そこそこ"にまで持ち上げる方がコスパがいいと言われます。それはそうです。80点を100点にする労力より、50点を70点にする労力の方が易いことは当然です。
しかし仕事やマーケティングの分野では得意なこと(商品)を伸ばすことが推奨されています。あれもこれもそこそこのレベルよりも、営業だったら営業だけを突出させたり、売れ筋の商品をさらに展開する方が客観的な成果は大になります。ではいったいどちらを信じたらいいのでしょうか?
それは両方だと思います。基本は長所を伸ばすことに専念し、「苦手だけれどどうしても避けられないこと、避けてはいけないこと」には真正面から覚悟を決めて取り組む、その両構えが大切に思います。
パソコンはちょっと・・とか、人前はちょっと・・などと言っていられない状況もあると思います。そんなときに思い出していただきたい言葉が「鈍刀を研ぐ」です。
「どんなことも、力士のように真正面から取り組めば、そこに面白みが付随してくる」ことは、万事に通ずる真理です。それを信じてあらゆるツール・媒体を使い、己が成長を楽しんでみてはいかがでしょうか。私も苦手なことは多々あり、実際に人前で話をすることも苦手です。しかしそれをどうにか楽しみに変えられないかと真正面から取り組み、少しはマシになった今日があります。その他の苦手科目も同様です。
もう一度最後に坂村さんと海原さんの言葉を噛みしめて終わりにします。
「切れない刀を磨いても無駄だと人は言うけれど、それでも一生懸命磨くのだ、刀は光らないかもしれない、しかし磨く本人が変わってくる、刀が磨く本人を光るものにしてくれるのだ、だからせっせと磨くのだ──。」
by 坂村真民
「苦手なことをしていると、うまくはいかないんですけれど、何かが変わってくるんです。少しずつでも以前より、今の自分が進歩したかもしれないと思えることは、生きている喜びになるかもしれません。それを楽しみに、苦手なことこそ、どっぷり浸かってみるのもいいかな、と思います。」
by 海原純子
「鈍刀を研ぐ」
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考記事