ドアは閉めてはいけない
「ドアは閉めてはいけない」
この言葉は特に商売や営業職に有効な教えです。いったいどういう意味なのか?
教えてくれたのが、当ブログの最近の記事で、何度とご登場いただいている日本マクドナルド創業者 藤田田さんです。
「ドアを閉める」とは「相手(お客さん)の"心の扉"をピシャッと閉め切る」ことを言います。もっと簡単に言えば「相手(お客さん)に後味を悪くさせる」ことです。
相手(お客さん)に後味を悪くさせれば、二度と購入してくれず、二度と来店してくれないでしょう。それが商売や営業の機会損失につながるということです。
ということは、営業職や商売人はその道のプロなわけなので、プライベートならいざ知らず、職業人としてのプロ意識に欠ける行為と言われても仕方がありません。
営業成績を伸ばしたい、商売を繁盛させたいという方は、お客さんの気持ちはいつ変わるかわからないことを前提に、いつも対処し いつも構える姿勢が大切です。
あなたにとっては"今さら"な話かもしれませんが、「ドアは閉めてはいけない」という、一見聞きなれない言葉で重ねると、一段と新鮮味を覚え、なおのこと意識して明日を取り組めるのではないでしょうか。
では藤田さんの生身の話を聞いて終わりにしましょう。ちなみに「ドアは閉めてはいけない」という言葉は、藤田さんが言った言葉ではなく、逆に藤田さんが友人から言われた言葉です。
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人間、多忙になると、とにかく気が立ってくるものである。面白いことに、商売に関してはフィフティ・フィフティが好きで、毅然とした態度を取らない日本人であるが、どういうわけか、人間に対しては好き嫌いの感情を露骨に現わす。
「あいつは気にくわん。あれはカスだ!」
驚くほどきっぱりと白黒をつける。話がこじれたりすると、手にした湯飲み茶碗を、バーンと床に叩きつけて帰り、あんな野郎とは金輪際口をきかないぞ、と息まくことも珍しくない。
私は世界の友人たちからさまざまなアドバイスを受けてきたが、日本人のこうした感情をむき出しにする点についても、
「ドアは閉めちゃいけないぜ、デン」
と忠告された。
「我々はドアの中へ片足を入れて、決してぴったりとドアを閉めさせない。人間だから明日、気が変わらないとも限らない。そういうときのためにね」
彼はこういって片目をつぶってみせた。
商売の上で、このことは大切なことである。茶碗を割り、ドアを閉めてしまっては、二度とその相手とは取引ができなくなる。しかし、ほんの少しのスキ間をあけておけば、そこから取引が復活することもありうるのだ。そして、そのために膨大な利益にありつくこともある。
「あの男はカスだ」
と決めつけた、そのカスな男が、意外なときに意外な力を発揮することは、よくあることだ。いかにジェット時代で忙しくとも、商売に感情を持ち込むことは、厳にいましめなければならない。冷静に状況を見きわめてこそ、正しい判断が下せるのである。
(中略)
感情に走って儲けをフイにするような人は、商人になる資格も、富を手にする資格もない。商人はあくまで"儲けのプロ"であるべきだ。
藤田田著「頭のいい奴のマネをしろ」より抜粋
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お説ごもっともです。
私は会社員ですが、会社員における職場の人間関係でも同様と思いますし、プライベートでも同様でしょう。ドアを少し開けておくことは人間としてのマナーとも言えます。
完膚なきまでに叩きのめそうとする人も、いないではありませんが、そういう人に誰も寄り付こうとしませんから、結局損をするのは当人です。それに早く気付いて直してほしいものですが、当人も"気づいちゃいるが、直せない"というのが実情でしょう。
アンガーマネジメントでも「怒りを覚えたら、6秒数えろ」とか「10数えろ」などと言われますが、それらを活用し、ぜひ怒りに任せて感情的に最後までいかないように気をつけたいものです。
「ドアは閉めてはいけない」
これは相手のためでもありますが、自分のためでもあります。敵をつくっていいことはありません。言われっぱなしや理不尽の押し付けは、たまったものではないことは重々承知しますが、何より冷静に多角的な視野で対処することが、結局は早期解決の近道と考えます。
あなたはいかがお感じになりますか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。