「薔薇」と「桜」の違い
あなたにとってこの世で一番"美しい"「花」はなんですか?
そう聞かれてあなたはなんとお答えしますか?
ホスト界の帝王と呼ばれ、現在実業家のROLANDは次のように答えます。
「薔薇」
しかし一番 "好きな"「花」は?
薔薇ではないのです。
その理由を次のように説明します。
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花が好きだ。花のもつなんとも言えない美しさは、見ていて幸せを感じさせてくれる。そんな花のなかで、最も美しいと思う花が薔薇である。妖艶でアーティスティックでラグジュアリー。まさにローランドの生まれ変わりといった佇まいだ。
では世界で一番好きな花は薔薇なのかと聞かれたら、そうではない。薔薇には、唯一にして最大の欠点がある。
それは美しいときに散れないこと。
枯れゆく美貌にしがみつくのだ。そこが、残念でならない。薔薇が1週間で散る花だったら、完璧だっただろうに・・・。
そう考えると、世界で最も素敵な花は桜なのではないか。あんなに美しい花を咲かせるのに、いとも簡単に散っていく。そこに一切の未練などなく、自分が一番美しいタイミングで潔く散る。そこがまた、なんとも言えず痺れるのだ。
(ROLAND著「俺か、俺以外か。」より抜粋)
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ROLANDは「言葉はアート」と言われます。「薔薇」と「桜」の違いを、見事な言い回しで説得力をもたせます。
桜の "一番美しいタイミングで潔く散る"
この「桜」の生きざまを体現したのが、ほかならぬROLAND自身でした。
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2018年。俺は、引退を表明した。この業界に入って8年。業績は、年々右肩上がりだった。2018年は各メディアで取り上げられ、名実ともに現代ホスト界の帝王であると称された。まさにホストとして最高の立場を確立したのである。そして確信した。
今こそが、まさに辞め時だ。一番美しいこのときに、俺は潔く散るのだ、と。
今辞めるのはもったいない。なぜ今なのか? まだまだ年齢的にも現役でいられるじゃないか。そんな声を多数いただいたが、それでいいのだ。散るときはカッコよく。
どうせ去るなら、最高に惜しまれながら去っていきたい。誰も見向きもしなくなったときに辞めるだなんて、あんまりにも普通すぎる!!
俺はこれからも、薔薇のように咲き、桜のように散る人生を歩んでいくつもりだ。
(同書より抜粋)
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最後の表現も見事です。
「俺はこれからも、薔薇のように咲き、桜のように散る人生を歩んでいくつもりだ。」
私はこのROLANDの話を受け、元K-1の魔裟斗選手を思い出しました。魔裟斗選手も 2008年にK-1で悲願の優勝(5年ぶり2度目の優勝)を遂げ、その後2,3試合をもって引退しました。もちろん優勝後の2,3試合も全力で戦い、すべてに全勝、まさに「飛ぶ鳥跡を濁さず」でした。
私はROLANDの言われる現役時代のピークに余韻を残すような形、すなわち「桜」のように見事に咲き誇ったと同時に、頂点は一瞬、鮮やかに散る(身を引く)姿に共感を覚えます。
それは後進の夢みる姿を形成し、牽引する余韻を残すと思うからです。業界もそのような先輩方をどれだけ輩出できるかで、盛り上がりが決まるのかもしれません。
しかし見方によってはただの「勝ち逃げ」にも見えます。例えばROLANDや魔裟斗選手をライバル視していた人などは特にそのように感じるかもしれません。しかし勝ち逃げもまた「美学」。勝ち逃げを目指すからこそ、頂点までのプロセスを頑張れるのだと思います。
つまるところ、自分から舞台を降りるか、舞台から降ろされるか、それがピーク時なのか、ピークアウト時なのか、いずれにしても当人の人生は続く以上、人生(キャリア形成)における納得感だけが進退基準です。
私は個人的にROLANDが言われる「薔薇のように咲き、桜のように散る」人生が好きですが、以前に紹介したプロ総合格闘家の青木真也さんは、ピークアウト後の「下り坂になってからがおもしろい」と、今でも現役を続けられます。
次回はそんな青木さんの「右肩下がりになってからおもしろい」と言われる理由をお届けします。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。