MMT(現代貨幣理論)3
MMT(現代貨幣理論)の記事が最近に上がっていましたので紹介します。書かれているのは有料メルマガ「マンさんの経済あらかると」を配信している斎藤満さんという方です。記事を読みますと、図らずも現在の政府は日米ともに財政出動を余儀なくされており、それが結果的にMMTを実行している形になっているとのこと。
財政出動をしているだけでMMTというのは、それだけを切り取り過ぎているため、斎藤さんは「疑似MMT」とも言っています。
金融緩和だけでは需要を刺激するに弱いため、積極的な財政出動が必要ということで、政府が赤字国債を発行し、それを日銀が買い取る形で、医療機関や自治体に数兆円の交付金を拠出しています。コロナ対策以外にも、経済政策の一環でグリーン分野の研究開発費やデジタル化の開発費にも10兆円規模の拠出が施されています。
斎藤さんはこのような大規模な財説出動を「モルヒネの投与」に例えられ、確かにデフレ下に置いて必要なことと認めつつも、モルヒネを必要以上に投与し続けることには反対されます。実際にモルヒネを必要以上に投与し続ければ体は返って蝕まれます。日本経済も同じこと。
しかし現実にモルヒネの投与は始まっているとされ、いつ投与を止めるのか、その辞めどきの判断は?
MMTではインフレの兆候が見られたときは、増税によってインフレ率をコントロールすることになっています。しかしこれはあくまで理論の話しで、他国でMMTによりデフレの脱却を図れた成功例はありません。新しい理論ゆえ、前例がないのです。
逆に自国建ての通貨で国債を発行し、行き過ぎた財政出動によりインフレに歯止めがかからなかった国は存在します。アルゼンチンやベネズエラです。斎藤さんの言葉で言えば"経済をモルヒネ漬けした結果"ということになります。
すなわち財政赤字を省みず、積極的な財政出動を施すことは諸刃の剣というわけです。その成否を分かつものはなんなのか? 斎藤さんは「政府の信頼度」と言われます。
適切なタイミングでモルヒネの投与を止められるかどうか、モルヒネを一時的な措置として扱えるかどうか、それが現政権に託された施術です。
この前例のない高度な施術は名医でなければ成し得られず、菅政権にそれが可能かどうか、斎藤さんははなはだ疑問視されます。規律を守らずに夜の街を飲み歩く議員を統率できていないからです。
モルヒネを使うなら、使いこなせるだけの技量をもった名医でなければ逆効果になり、もし逆効果になれば、前後の日本で行われた(ハイパーインフレによる)預金封鎖もあり得るとのこと。インフレになれば政府の借金の価値は目減りし(これは政府にとって好都合)、預金封鎖で市場に出回るお金を減らすことで、インフレにブレーキをかけるというもの。実際に戦後の日本のみならず、ロシア、アルゼンチン、ウルグアイ、キプロスで行われたことです。
斎藤さんは何が言いたいかと言うと、モルヒネを投与し始めたからには、危機感と緊張感を持たねばならず、そうでなければ過度なインフレという最悪のシナリオもあり得るということ。にもかかわらず現在の菅政権にそのような(危機感と緊張感の)態度は感じられず、そのことへの心配をもたれます。
さて、あなたはいかがお感じになりますでしょうか?
私は現在の財政出動は、MMTに関係なく、リフレ政策としても必須事項ゆえ、何も心配はしていません。そしてインフレによる借金の価値の目減りについても、財務省がこれだけ増税したがってますし、票田である高齢者や自民党の支持母体のお金持ちがデフレを安々と手放すとも思えません。そして実際に麻生財務大臣を要する菅政権は将来にわたっての増税路線をお示し済みです。
目下コロナ対策においては、おおいに真水(まみず)と呼ばれる財政出動をしていただき、失業者の支援や倒産の回避に勤めていただきたく期待します。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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