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MMT(現代貨幣理論)2

前回のつづきです。

 

前回はMMTの根幹を成す考えを指し示しました。「政府こそがお金の供給者である」という一文です。この一文はもう少しかみ砕くと、「政府が国債を発行(借金を)し、お金を市場に供給し、国民がそのお金を使用して初めてお金は市場に出現する」という考えです。

 

GDPの50%以上を担う個人消費が年間300兆円弱。この個人消費額ではまったく「お金が回っていない状態」ゆえ、現在はデフレ下にあります。このデフレを脱却するためにはまずは、もっと市場にお金を供給しなければなりません。そして使ってもらわなければなりません。

 

では市場にお金を供給できるのは誰か? それが政府です。政府が国債を発行して困っている人や、ニーズのある場所にお金を供給するのです。そして供給された人たちは、喜んでそのお金を使います。この"使用"こそが市場にお金を出現させたことにほかならず、供給されてもそれが銀行預金に流れたのでは、お金は「無」の扱いです。

 

市場でのお金の"使用量(流通量)"こそが、デフレとインフレを分かちます。ここだけに焦点を当てることが経済回復には必要です。

 

このような理論はリフレでも言われていましたが、実際の安倍政権では、2本目の矢「機動的な財政出動」がとても弱かったのです。この機動的という言葉が弱腰を意味しており、積極的な財政出動ではありませんでした。なぜか? リフレではアベノミクスの1本目の矢にあたる「大胆な金融緩和」に重きを持ち、そこをメインに副次的に2本目の矢「機動的な財政出動」を位置付けたからです。

 

"黒田バズーカ"などと言われ、異次元の金融緩和に踏み切ったことや、マイナス金利を導入したことが話題となりました。いずれも一本目の矢「大胆な金融緩和」です。この「大胆な金融緩和」で民間銀行にお金が供給され、それが人や企業に貸し出され、市場でお金が回ると思ったのがリフレでした。しかしそうはなりませんでした。2本目の「機動的な財政出動」をサブ的な位置に置いたのがリフレの特徴で失敗でした。

 

しかしMMTでは"1本目の矢「金融政策」は当たり前、それプラス 財政出動を積極的にすることで初めてお金は流通するのだ!" と息巻きます。

 

要はリフレの失敗を見て、後出しじゃんけんをしているような立ち位置です。しかしそうでもないようです。MMTケインズ経済学がルーツとなっていて、ポストケインズの重鎮であるハイマン・ミンスキーなどが発展させた理論から構築されたと言われるからです。

いずれにしても、リフレとMMTの違いは、リフレが「金融緩和」に重きを置くのに対し、MMTは「財政出動」に重きをおくことです。

 

そしてアベノミクスの失敗で「金融緩和」だけではデフレは解消しないことが確認されました。しからば「財政出動」を試みるべき!というのが多数の意見でしょう。

 

しかしなぜこうもMMTは異端扱いされるのか? 

 

それはアメリカでも日本でも、これまで唱えてきた学説が否定されたからです。その学説を唱えていたのが、アメリカではノーベル経済学賞を取られた重鎮たち、日本でもリフレ派の学者(評論家)たちでしょう。素直に負けを認められないというが本音なのだと思います。

 

しかし現在の日本では、リフレも中途半端に、緊縮財政を行っている始末です。緊縮財政とはプライマリーバランスの黒字化を目指す財政政策で、具体的には消費増税財政支出国債発行高)の消極です。すなわちMMTの真逆。税収を始めとした歳入に対し、できるだけ歳出を抑えること、これが緊縮財政で、年々その赤字額は減少しています。言い替えればプライマリーバランスは黒字化はされていないものの、赤字額は減少できているのです。この赤字額の解消をことさら成果と誇っているのが安倍政権でした。

 

MMTはこのプライマリーバランスの黒字化路線を真っ向から否定します。"歳出をセーブしたら、市場にお金が供給されず(お金が回らず)、元も子もないでしょ"というわけです。

 

最後にさまざまあるMMTに対しての反論の一つです。

「積極的な財政出動でインフレの兆しが見えたとして、はたしてその積極性にブレーキはかけられるのか?」

 

これはかなり的を射た質問です。しかしこれはあらかじめインフレ率2%を上限とする前提を発表しておけば済む話です。この質問は現在 目の前に餓死しそうな人がいて、その人に食料を与えることは、肥満を招くのではないか?と心配することと同じです。逆に現在の日本が餓死(デフレ)に近い状態にあることを認識していないことの方が問題で、かつ食料を与えずに健康(適正体重)にもっていける方法が逆にあるのですか?と問うべき事項です。

 

ではインフレの兆候が見られたときに、MMTではどのように手綱を引き締めるのか? それが増税です。例えば消費増税をすることで、消費は抑えられ、インフレ率は2%に調整できます。これがリフレでは金融政策に重きを置くため、金利の引き締めで調整することと思います。日銀が民間銀行からお金を吸い上げれば、民間銀行はお金が少なくなり、金利を上げなければならなくなります。金利が上がれば国民は消費より預金に走るという構図です。

 

最後に私の印象からみたリフレとMMTのもう一つの違いを申し上げます。それは小さな政府大きな政府です。リフレは小さな政府、MMT大きな政府をイメージします。リフレは機動的な財政出動と言っていることから、市場への介入は最低限にし、それ以降は市場原理(競争原理)に任せるというポジションです。それに対しMMT完全雇用を目指し、市場原理(競争原理)を嫌います。違う言い方をすれば、リフレはどこかで「トリクルダウン」を信じ、MMTはまったくそれを信じないという感じです。(トリクルダウンとは富める者が富めば、貧しい者も自然に豊かになるという仮説です、理由は富む者は雇用を創出すると考えられているからです)

 

ここまでお読みいただき、リフレとMMTは似て非なるものという感じを受けられたと思います。突き詰めれば金融緩和に重きを置くのか、財政出動に重きを置くのか、市場原理(競争原理)を善とするのか、しないのか、トリクルダウンを信じるのか、信じないのか、またその程度の違いです。

 

私は実は矛盾するようですが「小さな政府」の方がいいと感じるため、MMTに100%は傾倒しません。かといって積極的な財政出動には同意できるため、リフレ派でもありません。大事なことは何派でもいいので、いいところ取りをして、経済回復に勤めていただきたいと願うだけです。

 

本記事は2回にわたってお届けしました。もし興味のあるところでしたら、さらに深堀りしていただくのもよろしいかと思います。また内容はあくまで私の理解と解釈に基づくため、正当なそれとは違っているかもしれません。もしそんな箇所がありましたら、あしからずご容赦いただきたくお願いします。

 

MMT(現代貨幣理論)」

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。