ルーティーンと心の強化
「心を強くする方法」と聞かれて、あなたはなんとお答えしますか?
一般的には "(何かしらの)「結果」を出すこと" とお答えになるのではないでしょうか? しかし「それは違う」と原田隆史さん(原田教育研究所代表)は言われます。その箇所を著書「最高の教師がマンガで教える目標達成のルール」より下記に抜粋します。かなり長い文章ですが、すべて大事な内容のためご了承ください。
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私はある時期まで試合に勝つことによって生徒の心が強くなると思っていました。ところが全国大会で優勝した生徒に聞いてみると「そうじゃない」という。「優勝したら安心したけど、賞状と金メダルをもらっても心は強くならない」と全員が言いました。
「じゃ、みんな、心がつよくなっていないのか?」
「めちゃめちゃ強くなってる」
「なんで?」
「清掃奉仕活動を続けて、練習を休まなかったから」
これを聞いて私は気づいたのです。
「できることの継続、イレギュラーのない継続、そこに答えがある」。生徒たちの言葉によって、「心を強くする」ということの本当の姿がわかりました。
世の中の人は「成功やレベルの高いことの達成」で心が強くなると思っていますが、それは違います。心を強くするのは「継続」です。目標を立てて何をするかを決めてそこまでできても、パフォーマンスが上がる人と上がらない人の差が出る。その違いは、決めたことをやり切る、続けるかどうかです。
自分で「やる」と決めたことで、普段は当たり前にできていることでも、「今日はお盆だから」「お正月だから」「熱が出たから」「修学旅行だから」とか、特別な状況がきたときに、人間は「やらない」「できない」を正当化しようとする。「悪魔のささやき」です。
それを乗り越えることで、本当の心の強さが生まれます。特別な時でも平常心で切り抜けられるようになる。つまりイレギュラーを乗り越える力がつく。普段の継続こそが、ビッグイベントでの心の強さとして返ってきます。
これは「カリスマ体育教師の常勝教育」で紹介した話ですが、砲丸投げで日本一になった女子選手は、優勝できた理由を「皿洗いを一日も休まなかったから」と言いました。実はその女子選手は試合の少し前に高熱を出して寝込んでしまった。すると彼女の花親から私に電話がかかってきて、「先生、娘が"今日は皿洗いしなくていい?"って先生に聞いてくれって。私は"お母さん、どう思いますか?"と言って電話を切りました。後日お母さんに聞いたら、寝ている娘の枕元に皿を持って行って、皿洗いをさせたそうです。
目標達成への行動を決めて続けることができたかどうかを測るのが、原田メソッドのルーティーンチェック表です。自分で「できた=〇」「できなかった=✕」をつけながら、セルフマネジメントします。「△」はありません。「〇」の比率によって忍耐力、継続力がわかります。今でいうレジリエンスです。
不思議なことに「〇」の比率が86%以上になると、目標達成がグッと近づきます。86%という数字は、今までの経験値です。でも86%なのです。
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いかがでしたでしょうか?
私は自分のつたない経験則から、原田さんの言われる「イレギュラーのない継続」が心の強さを育むことに異論はありませんが、それは「結果」がともなって初めて芯から思えることだと思います。
上掲の砲丸で日本一になった女子選手も、日本一になったからこそ「一日も休まなかった皿洗い」を美談にできたのではないでしょうか。
しかしたとえ望む結果が得られたなかったとしても、皿洗いを継続した事実は変わりません。その点についての「心の強化」はきっと「再挑戦」への原動力になることは間違いなく、さらなる進化のモチベーションへと転化することでしょう。
また環境や条件から「再挑戦」のチャンスがなかったとしても、人生における別の分野への挑戦心を燃やす火種となることでしょう。
ついては、「イレギュラーなき継続」「86%以上の継続」はやはり「心の強化」に寄与すると言えそうです。しかし心の底から打ち震えるほどの「感動」は、やはり「結果」を現実のものとして初めて起こることであり、そういう観点から、せっかく育んだ「心の強化」は何が何でも「結果」につなげる必要があり、「結果」につなげていただきたいと切に願うしだいです。
あなたはいかがお考えになりますか?
次回も本記事と似たテーマで、別のエピソードがありますので、それをご紹介します。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
引用・参考文献