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「100倍の法則」

作家の橘玲さんが10代・20代の読者向けにつづった著書があります。タイトルは「人生は攻略できる」です。橘さんは2002年に国際金融小説「マネーロンダリング」でデビューし、2016年4月に出版された「言ってはいけない 残酷すぎる真実」が30万部を超えるベストセラーになりました。

彼の著書は字面が多くて読みにくい本もありますが「人生は攻略できる」は10代・20代向けのため、とても平易に書かれます。彼の著書のなかで一番読みやすいかもしれません。出版年も2019年3月とわりと最近です。

さて、その本の最終項「おわりに 幸福に生きるためのヒント」に、「100倍の法則」が出てきます。どういったものなのでしょうか?
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ここで「100倍の法則」を説明しておこう。これは(たぶん)誰も教えてくれないだろうけど、これから君が生きていくのにとても大切なことだ。「100倍の法則」をひとことでいうと、「加害は100分の1に、被害は100倍に評価する」になる。これはヒトの本性なので、加害や被害の当事者がそれを客観的に知ることはぜったいにできない。
(同書より抜粋)
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これだけではピンとこないと思います。つまりは"いじめ"を例にとると、いじめっ子は自分が相手をいじめたことを第三者からみて100分の1程度にしか感じておらず、逆にいじめられた方は、第三者からみて100倍に感じる性質が人間にはある、ということです。

そして橘さんが言われるように、いじめた方も、いじめられた方も、当事者はぜったいに客観的な尺度を持てません。そもそも客観的な尺度じたい、明確にできなことが多いですが、覚えておくべきは、人間は「加害は100分の1に、被害は100倍に評価する」という性質をもつということ。

これさえ押さえておけば、自分が傷ついても、また相手を傷つけた可能性があっても、冷静に対処できるヒントになります。自分が傷つけられたら、"実際は100分の1のサイズを100倍にしているのは自分のフィルターだ" と思いなおし俯瞰できます。

また相手を傷つけた可能性があれば、"自分が思っているより相手は100倍いや、100×100の10000倍傷ついているかも" と思いなおし、リカバリーに転じられます。

ケースによって100倍なのか50倍なのか、さまざまでしょうが、傷つく箇所はひとそれぞれ違いますので、人間関係やトラブルは「100倍の法則」が付き物で、かつそれが原因であることが往々にしてあると解すれば落ち着きは取り戻せます。

さて、ではなぜこのような「100倍の法則」が人間に働くのか?
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なぜこんなふうにできているのか、その方が生きていくのに有利だから。被害というのは、同じことを繰り返すと生命にかかわる出来事だ。不機嫌そうな大人に近づいたらいきなり殴られたとしよう。次から同じ失敗をしないようにするのは、この被害体験をしっかり覚えておいて、どういうときになにをしてはいけないかを学習するしかない。この仕組みをうまくはたらかせるには、実際よりもずっと強く被害を意識した方がいい。

それに対して加害の方は、覚えておいてなんの意味もない。そんなものはさっさと忘れてしまってかまわないのだ。

これが「加害と被害の非対称性」で、個人と個人、集団同士、国と国との関係まで、この世界で起きるやっかいな問題のほとんどはここから発生する。

(同書より抜粋)

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太古の昔から人間が生きるのにプログラミングされた性質ということですね。

 

「100倍の法則」

橘さんの帰結は次です。

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君がまず覚えておかなくてはならないのは、ひとにイヤなことをしたら、君はすぐにそのことを忘れてしまうだろうが、相手はずっと(場合によっては死ぬまで)覚えているということだ。これに気がつかないと、最初はいばっていられても、最後はたいていヒドいことになる。いつのまにかまわりが敵だらけになって、なにかあったら足を引っ張ろうと復習の機会を待っているのだから。

 

もうひとつ大事なのは、ひとからイヤなことをされても、それを過剰に考えすぎないことだ。

(同書より抜粋)

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なんとはなしに(少なからず)人を傷つけることは誰しもあることで、つまり相手(Aさん)から厳しいことを言われたときは、もしかしたら以前にAさんを傷つけるようなことを言ったのかもしれない、そんな認識を片隅に置くといいと思います。

 

また相手(Aさん)から傷つけられても、相手(Aさん)は傷つけるつもりで言ったわけではないかもしれない、またそのつもりだったとしても自分が考えるよりずっと微小の"つもり"だったと思いなおし、発想を変えることです。

 

あなたの腕に生傷(なまきず)があったとして、ちょうどAさんが塩を投げてきました。その塩がたまたまあなたの腕の生傷(傷口)にヒットしました。尋常ではないくらいヒリヒリし、塩を投げたAさんを相当恨みます。

 

しかしよく考えたら、腕に生傷(傷口)がなければ、そんなに怒ることもないことです。塩を投げた行為は注意にあたりますが、尋常ではないくらいのヒリヒリは「生傷」を持ったあなた(自分)に原因があります。

 

極めつきは、生傷はあなた(自分)しか治せないということです。生傷をつくることも直すこともあなた(自分)の範疇です。塩を投げる輩(やから)はごまんといます。その輩(やから)を撲滅させることも駆逐することも不可能。

 

私たちができることは生傷を極小にすべく、自分を労(いた)わることです。塩を投げる輩(やから)は、天気でいう雨や強風でコントロールしようがありません。夏や冬をなくし、春や秋だけにすることもできません。

 

塩を投げる人と自分の生傷(傷口)をきちんと棲み分けること、それが「100倍の法則」を理解し、ストレスマネジメントに生かすことのように思います。

 

「100倍の法則」

   ║

「加害は100分の1に、被害は100倍に評価する」

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。