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「性弱説」のすすめ

京セラ創業者の稲盛和夫さんは性善説性悪説の選択は置き、「性弱説」を唱えられています。最初にこの言葉(造語)を用いたのはどなたかはわかりません。が、私は稲盛さんの著書で初めて知った言葉です。

 

昭和50年代まで陽明学を中心に哲学・思想を語られた有名な人物に安岡正篤氏がいらっしゃいます。団塊の世代で勉強熱心な方は、だいたいご存じではないでしょうか。SBI証券社長の北尾 吉孝さんもたいへんに私淑されています。

 

私も安岡氏から数々の言葉を拝借し、人生を前向きに生きる指針とさせていただいています。しかし一つだけ距離を置いている言葉があります。それが次です。

 

「環境が人を作るということに捉われてしまえば、人間は単なる物、単なる機械になってしまう。人は環境を作るからして、そこに人間の人間たる所以がある、自由がある。即ち、主体性、創造性がある。だから人物が偉大であればあるほど、立派な環境を作る。人間ができないと環境に支配される」

 

そうです、「環境が人をつくるのではなく、人が環境をつくるのだ」と教えられているわけです。しかしこれは安岡氏の言葉にもあるように、偉大な人物と出来上がっている人だけに適用されるもので、一般人に適用できる代物ではないというのが私の考えです。

 

言葉の是非ではなく、なかなか人間、そこまで出来上がれないことを前提に、少しでも出来上がるためにも、環境の力を借りるの方が現実的かつ得策なのではないか、と思うわけです。

 

冒頭に稲盛氏の「性弱説」を持ち出したのはそのためです。どんなに規律を重んじても、友達や仲間、周りの人の怠惰に流されるのが大方の傾向です。それを裏付けるある実験があります。

 

アメリカのシラクーゼ大学のブライアン・ミューレンが、のべ2万3860人の歩行者の、信号無視をする確率を調べました。すると隣の人が信号を守っていたときは16.5%の人しか無視をしなかったのに対し、隣の人が信号無視をしたときは44.1%と無視をする人が増加しました。その差は倍以上です。

 

もちろん隣の人が無視をしても自分は無視をしないという、規律に従順な人も一定数はいましたが、実際に流れてしまった人が出たのは事実です。この実験はこれだけの内容ですが、もし追加実験があり、同じように2回、3回と隣の人の信号無視を目の当たりにさせれば、1回目は規律を重んじた人も、3回目で"ま、いいか"と流れたかもしれません。これが5回、10回、・・100回ならもう総崩れに近くなったかもしれません。

 

安岡氏のおっしゃる「環境は自分がつくる」という意気込みは崇高で尊いことですが、道具に頼って生活が営まれているように、環境を選んで自分を律する方が人生を自然と楽に生きられると思います。

 

「性弱説」のすすめ

 

「習慣」も環境と考えたとき、良き習慣をつけなければ、必ずといっていいほど悪い習慣がつくもの、そう思って日々のさまざまな「習慣」にも気をつけたいものです。

 

あなたはいかがお感じになりますか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。