「記録」のもう一つの目的
最近は少し減ったかもしれませんが、数年前まではよく「日記を付けること」がビジネスや自己啓発分野で推奨されていました。あなたも1冊や2冊は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
日記を付けるメリットはさまざまありますが、本日は日記を含め一つの単語、「記録」という概念でお話します。
「記録」の目的は一般的に、その事項を忘れたときに読み返せるようにするためです。読み返すことで答えを確認したり、答えまでのルートを想起できます。これは非常に重要な役割です。
しかしもう一つの目的も存在します。それは「けじめをつけること」です。「記録」には書くことだけでなく、録音することも含まれますが、ここでは書くこと(入力すること)に重きを置きます。
今日に起こったことを日記として「記録」することは、よほどのことがない限り、二度と今日を思い返さなくていい安心感を得られます。これを「けじめをつけること」と表現しました。
私がこの概念(目的)を知ったきっかけは、まだ居酒屋チェーン「ワタミ」が隆盛を誇っていた2000年初頭のことです、社長の渡邉美樹さんがある雑誌でそのように語られていて、"そんな効果(目的)もあるんだ" と感嘆したことにあります。それからというもの、私はいろいろなことに「記録」を付け始めました。すると不思議なことに、せっかく「記録」を付けたのに、どうしても思い出さなくてはいけないとき以外は、まったく思い出そうとしないのです。
この感覚は、実際にやってみればわかります。これを過去との決別に有効活用しようというのが本記事の主題です。「日に新た」という言葉がありますが、今日に頑張ったことも、今日に頑張れなかったことも、そして今日に嬉しかったことも今日に不愉快だったことも、すべて日記(記録)を付けることで、水に流すことができます。水に流し、二度と蘇らないようにできます。
裏を返せば「記録」を付けないから、不死鳥のように蘇ってくるとも言えます。「記録」を付けるということは、紙(データ)に記録を付けることを意味し、その内容は紙やデータに刻まれます。刻んだことが「けじめ」を生みます。新しい一歩に向かわせます。
そのような観点から、もし嫌なことがあった際は、夜まで待たずに、その場で「記録化」することをお勧めします。その場で瞬時に気持ちを切り替えられるからです。大事なことはその嫌な気分(気持ち)を見える化し、紙やデータに刻むこと。現在の気分(気持ち)を物理的に切り離すということです。
「見える化」というのはそれほど威力を発揮し、私は身をもってそれを体験しています。記録を付けているときはムカムカするかもしれませんが、そのムカムカ度をそのまま紙やデータに乗り移らせられるため、書き終われば気分は一新されます。
また日記に限らず知識や記憶事項についても、くり返しになりますが、「記録」を付けることで(いつでも思い出せる)という安心感がもたらされます。その安心感が「小さなけじめ」となり、現在にスッキリとした感じで向かわせてくれます。
書いたら次(の現実)、書いたら次(の現実)・・と現実を一新できる様(さま)は、過去を振り返らなくて済む現実を生み出します。何をもってしても「現在」が一番大切で、その現在に集中するためにも、足かせとなり得る「過去」については、良かれ悪しかれ「けじめ」をつける必要があり、それを可能としてくれるのが「記録」です。
ちなみに私が「記録」に使っているソフトはExcelです。体型的に書きなぐれて、何かあれば検索機能ですぐに検索できます。日記は見返すことはありませんが、仕事や記憶事項はよくあります。外出中もスマホのアプリやクラウドから見られるので、各種のタイムロスやタイミングを逃さなくて済みます。
ツールは何であれ、とにかく「記録」をつけることで、次の現実をスッキリとした気持ちで迎えられます。そして何かあったときはすぐに検索で引っ張り出せる安心感も言わずもがな身逃せないところです。
「記録」のもう一つの目的
A. けじめをつけること
あなたはいかがお感じになりますか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。